命を削って理事長をつとめる? | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
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こんにちは! 廣田信子です。


理事長の選び方や理事会へのレクチャーの重要性についての記事

「理事長はちゃんと選ぼう」
「理事がやることは誰が教えるの?」

の原稿を書いた直後にセミナーで、

まさにこの通りの状況で悩んでいる理事長の相談を受け、びっくり!

この時点では、まだブログもアップされていないし、
セミナーのテーマとも違うので、まさに引き寄せの法則かな~と。


とある団地の70代後半の理事長さん、

その団地では、理事15名は1年任期で輪番制、しかも理事長はくじ引き、
で、くじ引きに当たって(外れて?)今年理事長になっちゃたんです。

大きな団地の理事長に、突然くじ引きでなったら、それはきついですよね。

何をやっていいかわからないまま理事長を務めることになって
プレッシャーと戦いながら、セミナー等に行きまくって
猛勉強でがんばっていらっしゃいます。


私の話の中の、

理事の行動指針を決め、
管理組合の目指すところ(理念)を共有することが重要
という部分にすごく共感してくれて、

「ほんとうにその通り」だと。


で、相談があるということで、
今いかにたいへんか、何をがんばっているかということで、
休憩時間が終わっても話が止まりません。

相談というより、話を聞いてほしい~ということなのが分かります。

就任からこれまでの3か月間の理事長の孤独とプレッシャーが伝わってきて、
胸が痛みます。


真面目な方なので、理事長になったからにはちゃんと務めなければと
真剣なんです。

こういう理事長に管理会社はちゃんとレクチャーしてあげないと…
と本当に思います。


理事長は、

どこから手を付けていいかわからないので、
自分は会計や経理を仕事としてきたので、
じゃあ、自分が分かる会計からみようと思って、

見始めたら、おかしいことがいっぱいで、
管理会社を呼んで、その点を指摘しても、
うちはこの形式じゃないとできないの一点張りで…

管理委託契約の見直しに着手しようにも
任期は1年しかないんですよ。もう1/4は終わってるんです。


でも、来期に宿題を押し付けたくないと思い、がんばっているのですが、
もう体もボロボロで。で、夕べも3時間しか寝ていないんです。


と。


私は思わず、

理事さんたちはついて来てくれてますか?

改革を急ぐとせっかくと努力が仇になることもあるので、
あまり急ぎ過ぎない方がいいかもしれませんよ。

それに、あまり体を酷使するのは心配です。

1年任期と言っても、再任はできるので、
何人かの理事さんがもう1年理事を務めて、
2年がかりということも考えられますよ。

と。


すると、理事長は、

もうこの年です。
元気そうに見えても体がいろいろガタがきていて
とてももう一年は持ちそうにありません。

だから今年何としても片づけたいんです。
何人かはついてきてくれる理事がいるんです。

今日は、ほんとうにいい話が聞けてよかった。
また、何かあったら連絡させてください。

と言って、

お守りのように私の名刺を持ってようやく席に戻られました。

その後ろ姿に、思わず心の中で、

理事長の仕事に命かけないでね!

と。


で、この理事長の場合、

企業会計のプロだったという視点で、
管理組合会計を自力チェックするところから
理事長の仕事を始めたのが、

管理会社とのボタンの掛け違いを生んで、
思い通りにならない苛立ちや、孤独感を感じているんだろうな…と。


マンション管理には独特のノウハウがあります。
会計、長期修繕計画、組織運営…

それぞれ、一般的なその分野のプロから見ると、
マンション管理の世界のやり方(理事長から見ると管理会社のやり方)
は、不完全で問題が多いように見えがちです。

だからこそ、管理会社による丁寧な説明が必要なんです。
最初のレクチャーが肝心なんです。

なぜそれが必要で、どうしてこのような方式をとってるか、
どこをどうやって見ればいいか、

という説明が必要なんです。


管理組合は、企業とも、公益法人とも、労働組合とも、役所とも違います。


何のレクチャーもなく、

企業会計とは違う会計システムに戸惑いながら
会計から管理組合運営の問題が見えるはずだと、
必死で自分ながらに調べた理事長の問題意識は、

管理会社の担当者と対峙したときは、
もう説明を聞く耳をもたないほどになっています。

で、理事長の要望に「できない」という管理会社
との溝が深くなるばかりなんです。


こういうことは、ほんとうによくあるのです。


管理会社の方、

1年交代だから、どんな理事長に当たっても1年の辛抱なんて
思わないで、きちんと、その時々の理事長に向き合ってくださいね。


何だか命を削ってるように見える理事長の様子に、
祈るような気持ちになりました。


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