【ホテルから成田空港へ】
前泊していたホテルの9階の部屋から景色を見ると、穏やかな空に見えたのですが、外に出てみると、蒸し暑くて強い風が吹いていました。
コンビニで買ったお蕎麦を食べ、ホテルの送迎バスで成田空港に向かいます。
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【LCC:スクート】
今回利用するのは、LCC(格安航空会社)のうちの一つ、「スクート」です。チェックインカウンターのスタッフのみなさんの服は、黄色と黒のTシャツです。このようなところにも、「格安運賃を実現するために、無駄な経費は使っていない」 という姿勢が現れているわけです。
バンコクまで片道わずか1万円程度という格安運賃ですから、二人で往復4万円です。なので、空港使用料やバンコクのホテル4泊代を含めて、旅行会社(DeNA)に支払ったのはわずかに7万円程度です。「安いよねぇ~」という感想です。
 
【成田空港】
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成田空港内は、帰国するアジア人の観光客でたいそう混雑していました。でも、成田は車椅子客用のラインがちゃんと独立して機能していますから、立待時間なしで検査を通過し、搭乗口に行くことができました。滑り出しは上々です。
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搭乗予定の飛行機は、10時発、バンコク(ドンムアン空港)経由、シンガポール行きTR869便です。
 
■□■ フライトキャンセル ■□■
搭乗口の座席で待っていたのですが、通常、ゲートの先に停泊しているはずの飛行機ありませんでした。暫くすると、「成田上空の気象が安定しないため、成田10時発予定のTR869便は、名古屋空港に着陸することになりました」 という館内放送がありました。なので、「早くても3時間遅れだろう。最悪なら着くのは深夜かかもね」 と覚悟しました。
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お昼の12時を過ぎたので、乗客には1000円の食券が配られました。出発遅延による食事のサービスは、2年前、ローマ へ行った時、経由地の北京で1時間20分の遅延によってお弁当が出てきた時以来です。搭乗ゲート近くの吉野家に入ってみるとスクートのクルーの皆さんも食事をしていました。
成田上空の気流が乱れていたのは、朝8時前後の限られた時間のみだったようです。午前10時発スクート便の乗客を残したまま、鳥さん顔をした午後2時発の同系列のノック・スクート便は、何事もなく先にバンコクへ向けて飛んで行ってしまいました。
結局、当日内の遅延出発がなくなり、フライトキャンセルが確定したのは、午後5時頃です。で、しかも、「翌日のフライトは午後1時半」という案内でした。これでは、ほぼ1日半の観光時間消滅です。
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出国手続きが済んでいたパスポートには [出国中止] のスタンプが押され、空港を出ることになりました。
フライトキャンセルの場合、宿泊、朝昼夕の食事、ホテルまでの送迎は、航空会社持ちですから、お金の心配はありません。
しかしながら、ホテルのロビーは、アリタリア航空のフライトキャンセルによるお客さんもワンサカいて、フロントで行列に並ぶこと30分、結局部屋に入ったのは6時過ぎでした。
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結局、一日空港で椅子に座ったまま、何もすることなく7時間も過ごし、ホテルで夕食を食べ、おネンネです。
一つだけした事と言えば、この旅のホテルを予約したDeNAに、「フライトキャンセルになってしまったので、ホテル着が、翌日になることを伝えておいてください」 と電話したことだけです。
“ドッヒャ~~~な一日”は、このように過ぎて行きました。
 
【再び、ホテルから成田空港へ
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6月28日のこの日、本来はバンコクのホテルで目醒めていたはずなのに、ここはまだ成田です。
「翌日のフライトは午後1時半」と言われていましたが、「10時のフライトに空きがあるはず」、と思い、早々と食事を済ませて、8時に空港に行きました。「お母さんは車椅子なんだから、満席でない限り、特別扱いしてくれるはず」 という思いからです。案の定、それは可能でした。
搭乗した時の様子では、1日遅れの10時発TR869便には、まだ空席が10ほどありましたから、バンコクからの乗り継ぎ便のチケットを持っている人等は、優先的にこのような空席を割振ってもらえたはずです。しかしながらこのような特別扱いは、航空会社としても公式に案内するわけにもいかないので、フライトキャンセルに遭遇した場合は、個人的に内密に交渉するしかありません。
 
お母さんが乗った飛行機は、1日遅れで、成田を飛び立ちました。
 
【LCC:low cost carrier:低価格飛行機】
LCCは、機内装備も簡素です。
通常の長距離飛行機には、シートの背中にデジタルスクリーンがありますが、中距離、短距離に特化しているLCCには一切ありません。また、希望者にしか飲食物を提供しないので、トイレの数も通常の飛行機の半分です。
LCC:スクートの場合、荷物上限は10kgで機内食の提供は別料金ですが、通常の航空会社の場合、荷物上限20kgで機内食がついて、運賃は2~3倍です。お洋服をワンサカ持って行かないと気が済まず、食べることに命を懸けているオネエサン以外は、LCCで充分でしょう。LCCの機内への飲食物の持ち込みは禁止されていますが、あくまでも建前を守ってオオッピラにしないように、室内が暗くなった時にそっとパンを食べる程度であれば、何のお咎めもないでしょう。
 
【バンコク:ドンムアン空港】
飛行機は、現地時間の午後3時頃、ドンムアン空港に着きました。
日本とタイの時差は2時間です。
バンコクには、アジアのハブ空港を目指してドンムアンより後に新しくできたスワンナプーム空港があります。しかしながら、タイ・バーツを震源とする東アジア通貨危機以降、ハブ空港としての地位は中東諸国に奪われ、中国の発展もあって、スワンナプーム空港は、かつてほどの利用者はいなくなっていることでしょう。
ドンムアンは羽田に、スワンナプームは成田に相当します。
お母さんがバンコクに来たのは始めてですが、貢一は1991年、2001年に次いで3度目です。でも、自分でスケジュールを立てての旅は、今回が初めてです。
お母さんの車椅子を押してくれた移動サービスのお兄ちゃんは、チェンマイ出身だと言っていました。少しの会話でしたが、親切だったので、用意しておいた浮世絵の扇子と僅かばかりの硬貨をチップ代わりにプレゼントしました。
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日本・円とタイ・バーツの為替レートは、成田(1B=3.81円)よりバンコク(1B=3.54円)の方が良いことは分っていたので(差は7%)、ドンムアンに着いてから4万円を両替しました。4万円が11,292Bになりました。前回のバーツが少し残っていたので、日本のように物価の高くないタイ4日間なら、これで充分です。
 
【ドンムアン空港からホテルへ】
A4という路線表示の、カオサン行きバスで、ホテルに行きます。
空港の出口にカオサン行きという看板を出したカウンターがありましたが、料金300Bと言ったので無視して、扉の外に出てみるとA4表示の路線バスが停車していたので乗り込みました。この空港バス、インターネットでは一人料金70Bと掲載されていたのに、なぜか二人で100Bと言われました。お母さんが車椅子だったからでしょうか? 
 
二人が乗り込むと、最前列の席に座っていた日本人とタイ人の青年が二人のために奥の席に移動してくれました。
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間もなくバスは出発しました。
バンコク市内に入ってから下車するバス停も、そこから5分ほど歩けばホテルに行けることも、グーグルマップで調べて分っていたのですが、運転手さんもガイドさんも大層心配してくれていました。みんな車椅子の日本人に親切です。
 
【ホテル周辺】
下車したバス停付近には、大きな果物市場があり、夜になれば屋台もでます。欠点とすれば、市場に近いので路駐する車が多く、道路は余り綺麗ではないということでしょうか。
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通り沿いのお店でライチを1kg40B(150円)で買いました。台湾でもこんなに安くは買えないでしょう。
道端で瓶の蓋を駒にして将棋をやっているオジチャンたちがいました。見ているおじちゃんは、明らかに仕事をさぼって観戦していました。この国では、これでいいのです。
 
【宿泊ホテル(Loog Choob homestay)】
宿泊するホテルの名称は、Loog Choob homestay と言います。ファランポーン駅の北側2km程のYommarat駅周辺のウプロング地区にあります。運河に面した建物を改修してホテルにしている個人経営のホテルのようでした。2階から5階までの各階にそれぞれ3室ほどあり、ファラン(白人)をターゲットにしたデザインのホテルのようでした。1階のロビーにはシェアハウスの共有スペースのような広い部屋もありました。
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オーナーのオジサンから、ホテルの使用説明を英語で受けた後、4階の部屋に入って、先ほど買ったライチを二人で1袋全部食べてしまいました。
 
【タイの果物】
タイの果物はどれであっても、日本の果物のように過剰な甘さはありません。上品な甘さという表現が最適なので、幾らでも食べることができてしまいます。滞在中に6種類の果物を主食のように毎日テンコモリ食べました。
 
まだ夕方の5時前だったので、アジアティークに行ってカリプソ劇場のエンターテイメント・ショーを見に行くことにしました。
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バス停までの運河沿いには、赤い綺麗な花が咲いていました。
タイを走っている自動車の9割は日本車です。即ち、渋滞で有名なバンコクの悪しき交通事情に、日本の自動車メーカー各社が大いに加担しているのです。
まずは、ホテル直近のバス停から、路線バスで、水上バス停まで行きます。
水上バスは、渋滞がありませんし料金が安いですから、バンコク観光の中心である、チャオプラヤ河沿いにあるワット・プラケオワット・ポーワット・アルンを巡る時に多くの観光客が利用するはずです。
フライトキャンセルがなければ、本来、午前中にこれらの寺院観光していたはずですが、これらの観光は最終日に回して、夕方からの観光予定のみを、この日に実施することにしたのです。
 
【チャオプラヤ川の水上バス】
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ワット・プラケオの西側にある Tha Chang という水上バス停から乗りました。
水上バスには、観光客以外に、少なからぬお坊さんたちも乗っていました。
タイは出家仏教(=小乗仏教=南伝仏教)の国です。出家してはいても、一般市民がお坊さんに対して施す機会を与えるためでしょうか、市内でこのような僧服のお坊さんたちを見かける機会は、たくさんあります。
お母さんは車椅子なので、昇降場所である後尾テラスが指定席ですが、前方は椅子席、中ほどは立ち席になっています。
運賃は、30分ほど乗って二人で僅かに30B(120円)ほどでした。
しかも、この間の船上から見える景色は、いかにもバンコクに来たと感じることができる優れモノの景色ばかりです。
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左は船上から見えるワット・アルン、右はワット・ポーです。 ワットは日本語で「寺」の意味です。ワット・イボというお寺があったら覚え易いですね。
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サパーン・タクシンというスカイトレイン駅の下にある水上バス停が、終点です。この付近には近代的なビルが並んでいます。ここから、アジアティークまでは、無料の送迎水上バスがピストン運行されています。
 
【アジアティーク】
アジアティークは2012年にできた観光客用の集合商業施設だそうです。
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ちょっとした広場には、なにかしらのオブジェが置かれていました。
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ここでも買ったのは、椰子の実と、見たことのない果物のジュースだけです。
椰子の実は、美味しくはないけれど、まずくもないという味ですね。お母さんは、一口飲んだだけで 「もういい」 と言ったので、貢一が全部飲みました。夕方7時とはいえ、猛烈な蒸し暑さだったので、ちょっと車椅子を押しただけで汗びっしょりになっていましたから、いくらでも飲めたのです。
 
【カリプソ劇場】
アジアティークの中にカリプソ劇場があります。
ここで演じられるのは、ニューハーフの皆さんが演じるショーです。
前回バンコクに来た時、猫の親分が 「『カリプソ・キャバレーのショーは見たほうがいいよ』と(アジアからの留学生たちに)言われた」と言っていたので、見ることにしたのです。「確かに見てよかった」 という感想だったので、今回はお母さんに見せてあげようと思って、ここに来ました。
チケット代はワンドリンク付きで1200B╱人(4300円)でした。
上演時間は、19:30~ と 21:00~ の夜2回です。
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観光客の多い国をテーマにしたショーが順番に上演されます。欧米・中国・日本・韓国でしたが、前回はタイをテーマにしたショーが最高の出来という印象だったのですが、今回は自国タイのショーがなかったのでは? と意外に思ってしまいました。
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前回と同じだったのは、日本をテーマにしたショーの演出でした。自虐を好む日本人の好みに合わせているのでしょう。不細工な花魁の 「愛しちゃって、バカみたい~~~」 というおふざけの演出です。
 
総じて、全体的な演出のレベルが下がっていた感じです。ステージ上のニューハーフさんたちの器量もだいぶ下がっていましたし、これでは、「バンコクに行くなら、カリプソは一見の価値ありですよ」 とお勧めできない感じです。
 
【帰路のあれこれ】
帰りは、トゥクトゥクを利用して帰るのが最速なのですが、あえて船と電車とバスを乗り継いで帰ることにしました。これも経験のためです。
水上バスでサパーン・タクシンまで行き、そこからスカイトレインに乗り、サイアムで乗り換えてラーチャ・テーウィーで下車します。ここから路線バスで帰るつもりだったのですが、夜10時を過ぎていたためか、バスがなかなか来なかったので、30分ほど歩いてホテルに帰ることにしました。
その途中、屋台で香草がタップリ入ったタイ・ラーメンを僅か20B(70円)で食べ、夜市の屋台で3種類の果物を120B(400円)でワンサカ買って帰り、ホテルの部屋で再びテンコ盛りの果物を食べてオネンネしました。
 
タイ旅行の一日目はここまでです。