余市SAGRA@余市 北海道の、余市の、村井シェフのストーリー。 | 日本中を食べ尽くす!!ミトミえもん食べ歩きブログ

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注目される地方のレストランには必ずストーリーがある。それはレストランのストーリーにとどまらない、その地方そのもののストーリーだ。例えば、地産地消っていうのもその1つ。今回ご紹介する物語は北海道の余市市にあるレストラン『余市SAGRA』。



札幌から車で1時間の立地、それでも全国からの訪問者が途絶えることはない。もともとも札幌で北海道産の食材を活かしたイタリアンだったそうだが、移転して余市や小樽を含む後志地方の色が濃くなっている。近隣には世界が評価するワイナリーであるドメーヌタカヒコがあり、レストランではそんな貴重なワインも味わうことができる。そして、帰りの道中を心配する必要も全くない。ここは宿泊施設を併設したオーベルジュなのだ。レストランからベッドまで1分、心置きなくワインと食事を楽しんでください。



まずは、お出迎えはクルマバソウという北海道に自生する野草茶から。



さて、ここは秋でも雪の降る北海道の余市。土地の寒さを意識してか、唐辛子や生姜など発汗作用のある食材が随所に見られます。最初の料理は鱈の白子を中心に据えたオニオンスープ。揚げた玉ねぎを印象的に添えております。ご紹介の通り唐辛子やニンニクが素晴らしい仕事を成し遂げております。また、同時に提供されたパンは炭化させた玉葱を練り込んだパン。単体でも素晴らしいが、スープとのマリアージュに疑う余地なし。



松川鰈。このお皿を含めて料理全体に言えるのだが、塩気の主張が強くないのにきっちり旨味が設計されております。味を決定づけるのは同じ個体で作った魚醤のコラトゥーラ、同じく唐墨などの存在。地産地消どころか、地魚地消というか。酸味も感じられるが、この正体はブルゴーニュのワインでお馴染みのピノノワールで作ったお酢。恐れ入ります。



鯖の味噌漬け。締め鯖などで、鯖と酸味が相性がいいのは証明済み。この酸味を洋梨の酢漬けにおわせます。その他、ワインの澱、発酵バターを作ったときのホエーなど、本来捨てるものを上手に活用しているのも好感度が高い。地元の限られた食材は余すことなく使う、いわゆるサステナブルってやつですね!



鰤。干したプルーンと生姜を寄せた印象的な一品。赤紫蘇の味わいが素晴らしいアクセントに。



鮟肝。このアウトプットはありそうでなかった。地元の赤ワインで似ており、ブリオッシュも地産のじゃがいもを使ったもの。北海道の鮟肝が、北海道でワインに漬けられ、北海道に挟まれております。



スナップえんどう。蕎麦粉のベニエ、蕎麦もまた北海道の名産の1つ。干した河豚のパウダーを散らしており、塩加減が絶妙です。塩っぱいわけでないのにワインには合う。



鰤の揚げ物。結構な厚みで登場したのだが、これが全く気にならない。鰤の胃袋などを活用したサルサソースに、ハラペーニョという組み合わせ。これはコースにおけるMVP級の一品でございました。



口直し。この口直しがまた洒落ている。野性のキウイにスパークリングを合わせたもの。



蝦蛄。ラビオリの中にも蝦蛄。ソースにも蝦蛄。同じ素材を上手に重ねる、シェフの素晴らしい”手口”がわかってきましたね。笑



パスタは2種。1つは大きな葦を意味する円筒形のパスタ、カネロニ。筒の中にはハタハタ、外には辛味のあるトマトソース。納豆を想起させるような粘り気のあるとろみがあったが、これはハタハタの卵なんだとか!やはりこの手口だ。



もう1つは、蛸のタリオリーニ。これが本日の優勝作品、凄まじく美味い。蛸の内臓までフル活用しているそうで、その旨味がパスタに絡みついております。春に出る山菜というコジャックもいいアクセントになっておりました。



鮑。イタリア料理であるポレンタの上に盛り付けられます。とうもろこしを使うことが多いがここでは蕎麦粉。あえて海藻バターのソースを使うなどあえて磯っぽさを残した一品。自然に近い味わいというところか。



熊。北海道はジビエの産地としても有名。熊をしゃぶしゃぶに、スープは木の子達が努めます。



ドルチェ。もちろん最後まで北海道の色は薄まりません。牛乳のジェラートは、さすが北海道というミルク感。



改めて、野菜、魚、肉など北海道は食材の宝庫ですね。さらに、蕎麦やワインなど土地に近いアイテムを結集させて、イタリアンというフィルターを通したコースを作り上げております。北海道の、余市の、そしてシェフの村井氏のストーリーを感じるのに十分な体験でした。後は1分後に眠るだけ。また明日、、、