約1年の充電期間を置いて北参道の地で石井シェフの世界が復活。
待ちに待ったファン達が一瞬で予約を埋めてしまい、ようやくこの日に初訪問だ。
新しい店名の『シンシア(sincere)』
嘘偽りのないとか真摯なという意味だ。シェフの想いは店のレイアウトに表れる。
キッチンが見えるというよりキッチンの中で食事をしているような空間。
シェフ自ら客席を動き回り料理の過程や仕上げをみせてくれる。
料理にたいする真摯さとともに、客を喜ばせようという意志が伝わってきます。
その意志は料理そのものにもあわわれる。
テーブルにあらかじめセッティングされた黒い石。
なんということでしょう!ここに一品目の「稚鮎」が盛り付けられた途端に川が流れ出し、鮎が泳ぎだす!マイルドな山葵のムースといただきます。
続いて「和歌山県の宝石箱」。
宝石箱の中身は鮑。たっぷりの鮑のスライスの下にはクリームのような肝のフラン。
和歌山産の鮑に貝とエキスのジュレとあわせていただきます。赤紫蘇がいいアクセントになっております。
糖度の高い「とうもろこし」は群馬県産の恵味ゴールド。
びっくりするほどエアリーなスポンジもとうもろこし。これは手で触っちゃダメ!たったの一滴垂らされたスモークの香りが味をひっぱる。
驚くのその食感だけでなく調理法も。
一緒にいただいたスープはなんと芯で出汁をとるのだ。とうもろこしの出汁で煮出した水でピューレ作って牛乳で伸ばすだけなんだとか。味が強い。
今度はかわいいやつきました!男だらけのチームなのに「かわいい!」の声があがります。笑
右のトマト。一寸の虫にも五分の魂ともいわんばかりの5つの味覚を感じさせる。
トマトの酸味、キャラメルの甘味、塩の塩味、胡椒の辛味、葉を模したローズマリーの苦味。
次に朝食をイメージしたおつまみ。下はトースト、ソーセージ、卵。
手長海老に黒米をまぶしたフリットに南仏をイメージしたオリーブの生地、茄子、鰯のマリネのつまみ。
最後はポルチーニの生地とポルチーニのソテーのベーグル仕立て。
そしてバカール時代からのスペシャリテのバーニャカウダの登場。
バーニャカウダーの中心となるブルーオマールは、その調理風景さえサプライズの1つとして機能している。
タネも仕掛けもあるムールポットの中で水蒸気があがり続けていたのだ。
カカオのパウダー、メリケンのソースなど好みのソースで野菜をいただくが、蟹味噌のソースがうますぎる!
ブルーオマールと相性がいいのは言うまでもない。
シェフはサプライズの手を緩めない。鯛焼きの登場!これはデザートではない。
オーセンティックなフレンチであるスズキのパイ包みをたちまち鯛焼きの姿にしてしまう。このギャップがたまりませんね!
ソースも使用したミニトマトやオマールをソースに活用しているのもポイントだ。
メインの前の口直しも素敵。トマトウォーターを凍らせたものと泡立てたもの。
イチジク、栗、キノコを食べたという猪にイチジク、栗、キノコの付け合わせ。これで相性が悪いはずがありませんね。脂身がうまい!
食事はシェフの得意技という鰯とフォアグラ。
粗く潰して櫃まぶしのように。フォアグラの脂が全体に関与していきます。主張が強いですね!
受け止める米のたちかたも半端じゃない!!
デザートも女子が好きそうなビジュアルがバン!バン!バン!バン!
ディズニーランドの隠れミッキーのような仕掛けがいっぱいです。僕にとってはシンシアランドのほうが感動と驚きに満ちた世界だ。