パリ五輪で体操男子の団体戦、大逆転で金メダルを取ったのですね。おめでとうございます!

 

備忘録となっているこの日記です。いってみましょう。

 

昨日の月曜日。当店のお客様の入りはボツボツと。豚の角煮が上手なお兄さんも見えました。「日本の古本屋」からは、「ユートピアだより」「中国2 石佛慈顔」にご注文が入りました。ありがとうございます!私は本の相場を調べる仕事をしました。主人は本の発送と整理に務めました。

 

 

 

今日の火曜日。医者の義妹が紹介状を書いてくれたので、主人に付き添ってメディカル・スキャニングに行き、主人のMRIを撮ってもらいました。主人は一度、脳梗塞をしているので、ここのところ歩行がしんどそうなので、念のため、撮ってもらいました。結果は義妹のところに送られてくるそう。撮りおわって、お腹がすいたので、大戸屋さんでランチ。「豚の冷しゃぶとひじきご飯」を頂きました。美味しかったですよ!暑い時は脱水症状も起こしやすいし、脳梗塞に気をつけなくてはいけませんね。

 

 

 

 

さて、私は秋元 炯様が詩誌「地平線 第76号」をお送りくださったので、目を通しました。

 

ここでは、秋元 炯様ご自身のお作をご紹介させて頂きたいと思います。

 

「異形」

 

〈黒い影〉

プラットホームに出ると

赤茶色の見慣れない電車

中には 人がまばらに坐って

皆 首を垂れ じっと動かない

ホームにいる人たちも 立ちすくんだまま

何かの故障で発車できずにいるようだ

しかたがない 乗って坐っていようと思う

乗りこむと きなくさい嫌なにおい

すると急に 待ち構えていたようにドアが閉まる

その瞬間

坐っていた連中がピクッと動く

連中の身体 見る間に膨れあがってくる

身体のまわりに にじみ出てくる黒い影

首のまわり 手首の袖口

身体中から真っ黒い毛が伸びてくる

ゆっくりと身を起こし

一斉に私の方に にじり寄ってこようとする

 

〈指〉

空気が冷たく濡れている

コートに手を入れたまま

電車に乗りこんで シートに坐る

次の駅 大柄で黒服の男が乗ってくる

カバンに何かぶら下げている

干からびたニワトリの脚のようなもの

三本指の不気味な飾り物だ

それを見せつけるように 前に立ち塞がってくる

コートに入れた私の手のあたりを見ている

すると 同じような黒服の男が二人 三人

たちまち十人くらいに囲まれてしまう

一番背の高い男

私の方を顎で示しながら何か言っている

捕まえられてしまうのか

その時 電車が急停止

ドアが開くと 連中よりひと回り大きい男が三人

皆 コートに手を突っこんでいる

三人が入ってくると

黒服の連中 急にいなくなってしまう

後には 始めにいた三本指をぶら下げた男一人

入ってきた男たち コートから手を出す

巨大な手 三本指だ

たちまち黒服男 捕まえられてしまう

ヒャッ とか言って腕を捩じあげられる

飾り物も取り上げられ ばらばらにされてしまう

プラスチックの作り物だった

私もやおら立ちあがり コートのポケットから

長い爪を生やした三本指の手を出してやる

 

〈赤目〉

プラットホームは混雑していた

事故か何かで電車が来ないらしい

しかたがないので 椅子に坐って待つことにする

なで肩のおとなしそうな男の脇に坐りこむ

すると 遠くで プフォー

巨大な動物の鳴き声のような音

すぐに きたない音を軋ませて 電車が入ってくる

一両目はまともだが 二両目は

なんと 後ろ半分が千切れてなくなっている

壊れそうな音をたてて停車

開いたドアから

赤く光る異様な目の男たちが何か叫んでいる

後ろの車両を見てみろという仕草

そこには食料品らしい包みが山積みだ

ウォー

ホームにいた連中が声をあげる

みんな服の中から何か取り出す

ペンダント

赤目のペンダントを首から下げていたのだ

連中がギロリと私の方を見る

隣の男もいつの間にかペンダントを下げている

連中の一人が私を指さし

何か叫びながら迫ってくる

フォッ 隣の男が声をあげる

私の方に屈みこんで 上着の胸の前を探ってくる

すると 中から 巨大な赤目のペンダント

フォー 私も叫んで立ちあがる

駅全体が 獣じみた叫びに包まれる

 

 

秋元 炯様、ご恵贈ありがとうございました。

「異形」 何か背中にゾクッとするものを感じました。今度、駅に行ったら、プラットホームや電車の中をそれとなく、うかがってみます。異形なものを見つけられるかもしれません。そして、だんだん、自分までが異形なものになっていく怖さを感じました。

 

ありがとうございました。ますますのご健筆とご活躍をお祈り申し上げます!