宇野昌磨君、氷艶もエバラスも初演を観に行かれたとか。アイスショーにかける意気込みが伝わってきますね。

 

備忘録となっているこの日記です。いってみましょう。

 

 

 

 

昨日の土曜日。私は日本詩人クラブの第75回総会に出席しました。会場は赤羽会館小ホール。議題は2023年度事業報告・決算/監査報告 2024年度事業計画案・予算案・他議題の審議 名誉会員の顕彰 功労顕彰 その他  でした。私は会計担当理事の原 詩夏至さんの応援で行こうと思っていました。私は、昨年、一昨年と会計担当理事をしていたのですが、3月頃から決算・予算案と5月には監査があって、総会までは気が抜けないし、大変だろうなあと陰ながら応援していました。原さんは堂々と立派に報告され、終わったときは私も自分のことのように安堵しました。そして、役員の皆様、本当にご苦労様でした! 総会の後は、懇親会にも参加し、お料理とお喋りに興じました!

 

今日の日曜日。私は美容院に行きました。髪の毛をシャンプーセットして頂きました。今日は、「風味」がお休みだったので、お寿司屋さんに寄って、特撰にぎりのセットを頂きました。

それから、古本屋の仕事をはじめ、色々な雑務をこなしました。

 

 

 

さて私は市野みち様が御詩集「風は笑って」(土曜美術社出版販売)をお送りくださったので、読みました。

 

ここでは、7篇、ご紹介させて頂きたいと思います。

 

「小さな魔法使い」

 

幼い頃

自分は魔法使いなのではと

思っていたことがあった

 

新しい制服を着た

小さな小さな一年生

吊り紐のヒダスカートはブカブカ

体が服の中で泳いでいた

 

休み時間は皆でゴム飛び

私の番だ!

思いっきり走って

出来るだけ高く飛び上がった

その瞬間

ヒダスカートが大きく丸く広がって

宙に浮いた

 

確かにフワリと空を飛んだ

空を飛べる私は

魔法使いなのだと思った

 

いつの間にか消えていた

小さな秘密

 

「ご馳走」

 

「おいしいか?」

ニコニコしながら優しく伯父が聞いた

十一歳の私はただ大きく頷いた

心の中では「すごくおいしいよ」と

言っていたけれど

声にはならなかった

 

さっき見たフワフワの毛が

頭から離れない

風に吹かれて玄関前にとんで来た

少し大きなたんぽぽの綿毛のような

 

裏の小屋をのぞくと

あたりに沢山の白い毛が

丸く固まって風に揺れていた

あー

あそこから飛んで来たんだ

私は気付いた

赤い目の鼻をピクピクさせていた

愛らしいウサギが一羽足りない

 

そういう事だ

涙がこぼれないように

黙って一所懸命食べた

お肉と野菜が沢山入った美味しいお汁

「ご馳走様でした」

「気をつけて帰るんだよ」

伯父と伯母が

門まで見送ってくれた

 

坂を下りて独りになると

自然と足早になって 走り出していた

涙があふれる

拭いても拭いてもあふれ出る

とうとう

声を出して泣きながら

夕焼け色になり始めた山道を

家まで走って帰った

 

それからしばらく

大好きな伯父さんの家には

行かなかった

 

「矢車草」

 

やっとその日が来た

一年がかりで貯めた

十円玉三つと五円玉一つ

しっかりポケットの上から押さえて

角の小さなお花屋さんに走った

 

「お花ください」

指さしたのは矢車草

「ありがとうございます」

幼稚園児が抱えきれない程の大きな花束

こんなにいっぱい

頑張って家まで運んだ

ドッコイショ

「お母さん ありがとう」

ゲラゲラ笑い出す母

「カーネーションと間違えたのね」

そんな母だった

 

後のことは良く覚えていない

 

「春の日に」

 

三日休んで考えた

世の中に

私が必要とされていることなど何もない

念のため

もう一日休んで考えた

世の中は

実に生き生き回っている

私の踏み込む余地もない

何のために

今まで汲々と生きてきたのだろう

周りの人達に合わせて

ただ回っていただけ

 

ゆらゆらと風に揺れる桜の向こうに

どこまでも広がる

青空があった

 

「いたわり」

 

美容室に行くと

シャンプーの前に

「お手洗いは大丈夫ですか?」

と聞かれる

 

病院の検査室で呼ばれると

「検査の前にお手洗いに行かれますか?」

と言われる

「大丈夫です」

大体はそう答えている

しかし大丈夫なのかどうか

自分でもあまり自信がない

今のところ

何とか間に合っている

 

もう少し経って

「大丈夫ですか?」と聞かれたら

「はい ありがとう 行って来ます」

と答えよう

年寄りは

素直にいたわられた方が

生き易いはずだからね

 

「戻らなければ」

 

このままではまずい!

はるか下のベッドに

横たわっている物体は

確かに私だ

 

自分の意志では指一本動かない

頭はすっきりと整理されている

あの横たわる物体に

戻らなければ死んでしまう

 

それから一週間

昏々と眠り続け

複雑で面倒な体内に戻り納まっていた

 

あのまま

自由にフワフワしていたら

戻れなくなっていただろう

 

これで良かったのか

きっと 良かったのだ

 

死とは

恐ろしいことではないと覚った

 

「歩いて行こう」

 

歩いて来た

ひたすらに

周りの雑音は気にしないで

この先に居場所があると信じて

 

中年以降になると

「生き急いでいるみたい」と

知人に言われた

確かに死に損なったこともあった

まだ自分の居場所にはたどり着かない

 

ふと顔を上げると

この先は行き止まり

左側に

通行禁止の古い看板がある

その右端に

草の生い茂った細い道

消え入りそうな頼りないその道を

進むしかない

 

何を求めて

ひたすら歩いて来たのだろう

自分でも分からなくなった

澄み切った青空を見上げていると

何故か可笑しさがこみ上げて来た

理由が分からなくても

人はこんなにも笑える

 

これからは

一歩一歩ゆっくりと踏みしめて

細道を歩いて行こう

まだ何か待っているかも知れない

 

 

市野みち様、ご恵贈ありがとうございました。

 

「小さな魔法使い」 幼い頃、私もこう思っていたかも・・残念だけど、いつの間にか消えていた 小さな秘密 ですね。

「ご馳走」 私の母は、昔、つきあっていた彼氏にうさぎをお土産に背おわされたことがあって、母の父はそれを料理して食べてしまったそうです。それ以来、母はその彼氏と別れてしまったそうです。

「矢車草」やっと貯めたお金だったのに、矢車草を買ってしまったのですね。ゲラゲラ笑い出すお母様 いいお母様ですね!

「春の日に」 年をとると考えますね。私の踏み込む余地もない でも、どこまでも広がる青空に救われた思いです。

「いたわり」 年寄りは 素直にいたわられた方が 生き易いはずだからね  肝に銘じておきます。

「戻らなければ」 私にはこういう経験はないのですが、興味深いです。死とは 恐ろしいことではないと覚った  ちょっと私も安心しました。

「歩いて行こう」 私も中年にさしかかった頃、「そんなに生き急いでどうするの?」と言われたことがあります。理由が分からなくても 人はこんなにも笑える これは大切なことですね。私も まだ何か待っているかも知れない と思って歩いて行こうと思いました。

 

 

ありがとうございました。ますますのご健筆とご活躍をお祈り申し上げます!