宇野昌磨アップロードのメンシプで2回目の投稿がありました。画像のあるNow Voiceみたいな感じでいいですね。20分も昌磨君のお話が聞けてホッコリ。

 

備忘録となっているこの日記です。いってみましょう。

 

 

昨日の土曜日。私は朝ドラ「虎に翼」を1週間分、見ました。寅子が優三さんと結婚することになって、その手があったか、に同意してしまいました。ともかく良かったなあと。またとないパートナーですね。

私は古本屋の仕事をはじめ、色々な雑務をこなしました。

 

 

今日の日曜日。私は美容院に行きました。髪の毛を染めて頂きました。その後で、喫茶「風味」に寄ってランチ。ブルーベリーのホットケーキとアイスレモンティーを頂きました。

今日も色々な雑務をこなしました。

 

 

 

さて私は出雲筑三様が御詩集「來陽」(土曜美術社出版販売)をお送りくださったので、読みました。

 

ここでは、7篇、ご紹介させて頂きたいと思います。

 

「マフラー」

 

ボクは余命三か月と宣告されてから

今年二月で二年になる

体重はがたっと落ちたが

歩くことで気持ちが整理され

身体が軽くなり 柔らかくなった

 

病気平癒のお守りを授かった

神明社まで

参拝するのも日課になった

手水で手と口を浄めると

水の流れる音が清々しい

神殿の石畳で二拝二柏手一拝

境内に木霊する音が脳にとどく

風が千年のムクの梢を訪ねた時は

葉擦れの響きまで聞こえてくる

 

鳥居をでると

自宅まで七千歩

枯れ葉の残る足許を観ると

センリョウの赤い実が密かに五つ六つ

ネコヤナギの銀毛コートも膨らみ始めた

気恥ずかしいが

両手を大きく振って歩いてみる

幼かった頃のように

ひやり寒風

マフラー巻いて

 

「來陽」

 

目覚ましが鳴った

油断ならない内なる侵略者への

免疫力を維持するため

退院しても規則正しく起床

カーテン開けて 朝を見る

体内時計もリセットした

 

もや残る駐車場に目をやると

自動車のバンパーに太陽が反射し

オレンジ色に輝き出した

しんしんと透明に窓ガラス

 

今朝もどうやら無事

光輝くバンパーに向かって

手のひらを合わせた

神秘なる生命力の粘り強さ

 

サラリーマンがゴミ袋を

集積場に持って行く足どり

鳥の鳴き声 羽ばたく音

生活を始動する 安堵の光景

 

今日もスタートはテレビ体操

甘く見ていた体操も真剣にやると

けっこう汗をかく

何ごともない平安な日常

牛乳とブロッコリー

アーモンド色になったパンの匂い

 

「車窓」

 

免許返上し電車に乗った

ハンドルを忘れて自由を愉しむ

街はいまも脱皮をくり返している

洒落た建物に変身したかつての得意先

たれた目尻でのぞくと

やり手の営業部長だった浜さんだ

背広から作業着姿に変わり

ため息もつかず掃いてゆく

 

若武者の頃は無敵のあこがれだった

世の中は気まぐれ

絶頂期にあるトラブルに巻き込まれ

出世街道を水の泡にした

 

カンカンカンカン

静まりかえった倉庫に響く踏切の音

浜さんのほほを点滅する赤い光

追い詰められて枯れ葉は吹きだまる

 

カンカンカンカン

まだ頑張っているのかい

下請けで怒られっぱなしだった俺

あの時はあれでも頑張っていたんだよ

 

踏切でもスピードを落とさない電車

あの頃の浜さんと同じで

几帳面な性格は今も変わらない

世の中いい時も悪い時もある

苦しいなりに あの頃は良かった

 

なにもかも閉じ込める冬の時代

落ち葉はくるくる加速する秒針

 

 

「熱海さくら」

 

熱海さくらは開花が東京より一か月はやい

この時期になると

サミットと称する麻雀大会がある

参加者は中小企業の経営者が多かった

老兵達はしわくちゃ顔になったが

若かりし時と同じ生意気な歩きかたで

二十人の自称名人が群がって来る

 

癌をわずらった 会社が倒産した 介護がある

そんな中で出席率は95パーセント

欠席者は差入れして無念さを表した

「勝っても 負けても

 いつも明るく 元気よく」

会長ウーさんの笑顔に満ちた人生のみことのり

ルール違反などすると

「真面目にやれ! 仕事じゃないんだから・・・」

世間の階級差別もなく笑いを誘った

優勝者には金一封をもって表彰されるが

名誉のコメントが義務づけられている

「このたびはメンバーに恵まれまして・・・」

が決まり文句だったが

メンバーは三十九年間 変わらなかった

祝勝会では皆を接待する暗黙のちぎり

敗者はこの時と・・・うっ憤をはらす

このため賞金は蒸発が多かった

 

熱海駅への帰り道はきつい上り坂

つわもの達は ほろほろしながら

あおぐピンクの濃いさくら

蜜をもとめてジャンプするメジロ

花はだれにでも優しかった

 

翌年の大会

負け常連の男は喉頭がんで入院中だったが

院長の特別許可を得て参加し

国士無双を生まれて初めて達成した

「ローン、国士無双!」

病人らしからぬ気合の声がとどろくと

大広間は一瞬 沈黙が続いたあと

どっと拍手と涙ごえであふれた

 

戦いが終わると皆のさっぱりした顔

さくら咲く道を歩くと

相変わらずメジロが花を訪ねている

敗け男は肩をよせ ささやいた

 

「あんたと真剣勝負できたことが一番の土産

いつも負けてばっかりだったけど・・・」

 

一か月後 さくらの花のように

散った気弱そうなあの顔 でも

大会は無遅刻無欠勤

仕事ひとすじの工場長だった

 

強敵あいてに国士達成した男の笑顔

その写真をかざして観るさくら

勝者も敗者もほほゆるむ

春のおとずれ 熱海のさくら

 

「鳩」

 

鳩が夢中で餌を啄んでいる

近寄っても逃げる素振りがない

歩速を落として

さらに近づくとやっと路をゆずった

ゆずらなかった場合は

ボクは路をゆずる気持ちだった

 

これが人間だったら緊張する

俺が強いんだと主張するのは

動物すべてに共通する生存本能

いじめ回路も最近発見された

どちらも

いきものの歴史から進化した

生存に必要な神経回路なのだ

 

人類が生物の頂点に立った結果

次に起こる不安は誰に狙われるかだ

脳の退化と進化はつづく

思いやり回路はできたのだろうか

 

鳩たちは集団行動が徹底している

一羽が飛び立つと 一斉に羽ばたく

トップを走る鳩は

リーダーに成ろうとしている訳ではない

誰かが反転すると

新たなトップに従い集団を崩さない

 

産業革命により減衰した自然との調和力

鳩は電磁波の神秘の力を使いこなし

躊躇なく大空をひろげていく

 

「くしゃみする月」

 

刎頸の君と三十年ぶりに金沢に泊まり

李白の如く 一杯また一杯と地酒を二升

酩酊したので 小休止のつもりで

冷蔵庫を開けビールを探すと 無い

君は豹変し

「こんなもの要らない」と

冷蔵庫は怪力を以て中庭の池へ落下した

ドスッという音と豪快な水しぶき

池で休んでいた満月がくしゃみした

唖然とするボクを見て 君は

落下物めざして京座布団をほおり投げた

これが上手くいかなかったので再度挑戦

二枚目は見事に白い落下物に着地した

これで物証は無くなった と唱え

「とことん お前と一杯やりたかった・・・」

消え入る声で呟いた

 

想い出すのは 中二のあの頃

秀才の君に教えてもらったサイクリング

ドロップハンドと十段変速機は珍しかった

満天の星と月 煌々と浮かぶ柳沢峠

「月の野郎 どこまでもついて来やがるな」

ボトルの水を飲みながら しんそこ笑った

不遇な家庭に育ったにも拘らず

いちども愚痴をこぼさなかった

 

急に旅立ってしまった 君を偲んで

迷惑をかけたホテルを訪ね

手酌しながら池の満月をみると

はにかんだ君の笑顔のような

えくぼのある お月さま

 

「きつねうどん」

 

きつねうどんが無性に喰いてぇ

ところが中々いい店が見つからねぇ

何てぇこたぁねぇのに見つからねぇ

 

意外と後悔させないのが

ひっそりした駅近くのうどん屋さん

すぐできるし

油揚げとネギのうめぇこと

高級なうどん屋さんは

何か忘れているんじゃねぇの

きつねうどんは庶民の味方

ほっとした気分になるのがいいねぇ

 

うどんの原点はきつねうどん

夜風がしみる寒太郎

瀬戸焼のどんぶり持ったとたんに

どっと押し寄せる

おふくろの顔

 

ふところが温んだ時は

味噌煮込みうどんも たまには良い

ほどよい弾力のコーチン

尾張の赤味噌にぴったし

もうちょっと煮込んでくれた方が好き

 

きつねうどん

これが美味い店は

なに喰ったって美味いんだ

 

 

出雲筑三様、ご恵贈ありがとうございました。

「マフラー」 歩くことで気持ちが整理されることってありますよね。余命なんて乗り越えて頑張ってください。

両手を大きく振って マフラー巻いて頑張ってください。

「來陽」 退院しても規則正しく起床 その意気ですね。今朝もどうやら無事 生活を始動する 安堵の光景

何ごともない平安な日常  一番大切なことだとつくづく思います。

「車窓」 浜さんに会ってみたくなりました。本当に世の中いい時も悪い時もありますね。

「熱海さくら」 サミットと称する麻雀大会  素晴らしい大会ですね。熱気が伝わってきます。強敵あいてに国士達成した男の笑顔 こちらも思わず泣きそうになりました。

「鳩」 産業革命により減衰した自然との調和力 鳩は電磁波の神秘の力を使いこなし・・・本当に人類はどこに行ってしまうのでしょうね?

「くしゃみする月」 随分と豪傑なお友達がいらっしゃったのですね。急に旅立ってしまって淋しいですね。はにかんだ君の笑顔のような えくぼのある お月さま  月も一緒に偲んでくれているのかもしれませんね。

「きつねうどん」 きつねうどん これが美味い店は なに喰ったって美味いんだ  そうかもしれないと思いました。

 

 

ありがとうございました!ますますのご健筆とご活躍をお祈り申し上げます!