温かい日が続いて、嬉しいです。でも、まだ寒の戻りがあるのでしょうね。

 

備忘録となっているこの日記です。いってみましょう。

 

昨日の土曜日。私は古本屋の仕事をはじめ、色々な雑務をこなしました。それから、「光る君へ」の再放送を見ました。大河ドラマでのラブシーンに驚いてしまいました。夜は「世界フィギュア開幕直前SP]をテレビで見ました。特に、昌磨君部分に見入ってしまいました。ステファン愛を感じて、キュッとなってしまいました。

 

今日の日曜日。私は美容院に行きました。髪の毛を染めて頂きました。それから、喫茶「風味」に寄ってランチ。ボルシチセットとホッとレモンティーを頂きました。

 

 

 

さて私は和田 攻様が御詩集「信州方言辞典」をお送りくださったので、読みました。

 

ここでは、6篇、ご紹介させて頂きたいと思います。

 

「つれっぱなす」

 

野原は餓鬼共の聖地

連れ小便

いわゆる

ツレションぶっ放すは

一つのゲーム

誰が一番遠くまで飛ばすか

あいつは恥ずかしがって

いやだと

ツレは連れ 仲間から

外してしまえ

宣言する お前を

ツレから離す

つれっぱなす

 

「ひっちがえる」

 

水たまりを飛び越した時に足首がぎくっとな

捻挫なんて大袈裟なもんじゃない

ちょいとひねっただけ

ほっとけば治る程度だ

なんだ

ガマガエルとヒキガエルの間違いみたいなもんか

そうそう

ヒキガエルだっけひっちがえるだっけ

 

「しこたま」

 

おしんこ

なんて

上品なことは言わない

しんこ

食いてえなで十分

馬並みたまげるほど

平らげる輩もいる

しんこもたまげるって

ぱくぱく

しんこ たまげ

しこ たま

しこたま たあ

たまげるほどのたんとのことよ

 

「てんこま」

 

おっかないおやじも

たまには子どものご機嫌取り

両肩にまたがせ

おでこにしっかりつかまれよ

ヨイショと立ち上がる

わーい天井に届きそう

 

部屋の中をぐるぐる回れば

天井もぐるぐる回って独楽のよう

わーい天井が独楽になった

てんこまだー

今日も

てんこまして!

 

「胆」

 

胆を抜かれたバカッ話を一席いかがかな

熊胆ならグラム万円という妙味もあろうが

胆石を含んだこいつは害あって益なし

金を支払ってまでの除去作業だ

肝っ玉母さんにはなれっこないが

胆の据わった男になれとの遺言も

蛻の殻となった今じゃ

金玉火鉢に焙る一物も欠け

五臓六腑が五臓五腑

雷様から守りぬいた臍の祠も鏡の貫通術で

希薄この上なし 決断・勇気を司る機能も

消え失せてしまったようだ

 

思えば三十五歳初ドック

佐久の名医曰く

「この石は痛みを与えず よって一生無害」

古希とは古代より稀なる命

当時の平均ご寿命にて推定するに

炎症以前にご昇天遊ばせていたはず

名医の診断に誤りなく長生きは災いの元

 

臥薪嘗胆 薪なく舐める苦みの基も持ち合わせず

もう一花の希望も潰えた

おれの憐れみ見てか

遺品となりて久しく

還暦に頂きし同級生からの植木鉢

枝ぶりの健気さ花弁の艶やかさ

この日ばったり息絶えた

 

身代わりの人身御供踏みしめ

ゆるり傘寿への掛橋登ろうか

 

 

「銀色の飛行機」

 

二歳半

衝撃の記憶から生み出された

わたしの眼と耳に住まうグラマン

重力に逆らう機影は今も思考の真っ只中に飛来する

 

耳を劈く轟音

「飛行機だ」誰言うことなく叫ぶ

陰影くっきり胴体と翼の一体感が幼子を威圧する

幾つも幾つも こんなにも大きく速いのか

市街地は一直線10キロ 標高350メートルの展望

朝の太陽の光が殊のほか眩しく

「爆弾を落としている」大人が叫ぶ

ふんわり浮いた孕みのギンヤンマ

銀色の飛行機が銀の卵を産み落としている

バラバラと破片のような輝き

 

東京から長野市へ疎開

さらに空襲警報に追われ母の実家隣村へと

未だに銀色を見ると

あの光景が突如脳裏に蘇る

敗戦で戻ることのなかった花屋敷東京

幼稚園でのお絵描きはかの空中ドラマをなぞり

銀色のクレヨンだけが減った

 

国鉄就職 長野機関区へ配属

D51の煙の手招きに従い

庭の片隅にひっそり犠牲者八名の碑を見つけた

知る由もなかった爆弾の矛先に導いたのは

あなたがたの霊魂 わたしは命の上に立っている

昭和二十年八月十三日と読める

あと二日で敗戦を迎えたというに

日本の片田舎に近い仏都善光寺

大豆島飛行場そして輸送の最前線

蒸気機関車への標的は戦術の基本とか

六十二機の艦載機による四十七名の犠牲者長野空襲

アメリカの地図に

松代大本営工事現場はあっただろうか

 

 

 

 

 

 

 

和田 攻様、ご恵贈ありがとうございました。

「つれっぱなす」 ツレションぶっ放すは 一つのゲーム ツレは連れ 仲間から 外してしまえ ツレから離す つれっぱなす

初めて知りました。聖地の野原からの話なのですね。面白いですね。

「ひっちがえる」 本当にカエルの仲間かと思いましたよ。ちょいとひねっただけ なのですね。

「しこたま」 しんこ たまげ しこ たま から来ているのですね。これも面白いなあと思いました。

「てんこま」 独楽の仲間かと思いましたが、これは子供は喜びますね。

「胆」 胆を抜かれた話なのですね。決断・勇気を司る機能も 消え失せてしまったようだ  ちょっと寂しいですね。でも、植木鉢が身代わりの人身御供になってくれたようなので、傘寿と言わず長生きなさってください。

「銀色の飛行機」 私の父も舞鶴から渡満するとき、船がグラマン機の攻撃を受け戻ったそうです。幼稚園でのお絵描きは銀色のクレヨンだけが減ったのですね。衝撃の記憶だったのですね。庭の片隅にひっそり犠牲者八名の碑 六十二機の艦載機による四十七名の犠牲者長野空襲 無念ですね。もう子供たちのお絵描きに銀色のクレヨンだけが減ることがないようにと祈っています!

 

ありがとうございました。ますますのご健筆とご活躍をお祈りしております!