【パリ時事】「太陽がいっぱい」など多くの映画に出演したフランスの名俳優アラン・ドロンさんが死去した。
パリ郊外ソー生まれ。4歳の時に両親が離婚し、里親に育てられた。仏誌パリ・マッチのインタビューでは「不幸な幼少期だった」と振り返っている。17歳で軍に入隊。インドシナへ出征後、放浪の末に銀幕を目指した。
1957年、「女が事件にからむ時」でデビュー。ルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」(60年)で、友人を殺し財産を狙う貧しい青年役を好演して一躍脚光を浴びた。「太陽はひとりぼっち」(62年)、「山猫」(63年)、「地下室のメロディー」(同)などでも主役級を担った。
一時ハリウッド入りしたものの水が合わず、フランスへ戻って「冒険者たち」(67年)、「サムライ」(同)、「ボルサリーノ」(70年)などで男の友情や孤独、執念を演じた。 「真夜中のミラージュ」(84年)でセザール賞主演男優賞を受賞し、「危険なささやき」(81年)では監督も兼務。ジャンポール・ベルモンドさんと共に仏映画界を代表する俳優として知られた。
私生活では、女優ロミー・シュナイダーさんとの婚約を解消、ナタリー・ドロンさんと結婚・離婚し、ミレーユ・ダルクさんと事実婚。女性関係は華やかで、晩年には連れ添ってきた日本出身の女性とドロンさんの家族が訴訟合戦を展開するスキャンダルもあった。 自身の名をブランドにした香水が人気を博すなど、実業家としても成功した。2017年に引退の意向を表明。19年、脳卒中のためパリの病院で手術を受けた。