今回はご招待をいただき明治神宮薪能を拝見させていただきました。
16時に受け付け開始と言う事で行きましたら、すでに多くのみなさんが並んでおられ私たちは50音順で「か」のグループになりました。
明治神宮には何度も参拝に来ていますが夜の神宮は初めてで、夕方になり虫が涼しげな鳴き声を奏でる中、薪がたかれた幻想的な参道を本殿に向かいしずしずと歩きました。
新南門をくぐると、今回の薪能の舞台がある本殿に到着、私たちは比較的に舞台から近くに座る事ができました。
今回の薪能は、ただの能ではなく神事としての、能の奉納と言う事で開催されました。
まず火をおこす神事を執り行い、能で使う薪につける火を神殿にておこし能舞台の四隅につけました。
そして全員の入場が済んだ事を確認し新南門の大きな木の門を閉めます。
神主が舞台に立ち全員が起立し頭を下げてお祓いを受けました。
神様にご奉納いただく薪能を私たちも拝見させていただく形で進行していきます。
薪にくべられた木が燃え盛り、木が割れる音が「ピシッ!ピシッ!」と鳴るたびに、火花がまるで蛍の様に舞台のまわりを飛んでいました。
そして、静かな笛の音から薪能が始まりました。
演目は以下の通りです。
演目 「翁」
金春安明/金春流
狂言 「末広がり」
大藏彌太郎/大蔵流
半能 「石橋(しゃっきょう)」
本田光洋/金春流
比較的に有名な演目をなさって下さり初めての私でも楽しむ事ができました。
拝見させて気がついた事は、とにかくシンプルで無駄な動きがなく、所作全てが美しい、と言う事です。
シンプルな音、シンプルな所作は、いまの音楽と違って、沢山の音で隠す事ができないシンプルだからこその本当の難しさがあると思います。
それと独特だったのは「無の時間」があること、これは「間」と言う事になるのですが、この何も無い時間が、より一層この場の雰囲気を引き締めます。
海外で演じられると、海外の人たちは能が終わったと勘違いをして拍手するみたいですが、それくらい長い時間、間をあけると言う事は他の国ではないのだと思います。
日本の「間」と言う感覚は独特なものなのでしょう。
その難しい演目をなさって下さったのが以下に、ご紹介させていただくみなさんです。
今回の薪能の出演者のプロフィールです。
金春 安明(こんぱる やすあき)
金春流八十世宗家。
1952年生まれ
七十九世金春信高の長男
重要無形文化財総合指定保持者
大藏 彌太郎(おおくら やたろう)
大蔵流二十五世宗家
1948年生まれ
二十四世大藏彌右衛門の長男
重要無形文化財総合指定保持者
本田 光洋(ほんだ みつひろ)
金春流能楽師
1942年生まれ
重要無形文化財総合指定保持者
文化庁芸術祭優秀賞(1976年)
今回の薪能の最中に、たまたまお客さんの囁きで「今夜は13夜だからね」の話しが聞こえ空を見上げたら、なんと!あきらかに飛行機ではない光が「す~♪」と飛んで行きました。
そういえば昨夜から今朝にかけてジャコビニ流星群の日でしかも13年ぶりの極大日だった事を思い出しました。
場内は、ただただ虫の音と薪の音、能の歌声と鼓や太鼓や笛の音が響き、ここが原宿であることを忘れる幻想的な空間に染まっていました。
上に書きました様に、能の無駄のない動き、身体がブレない姿は現代の激しいダンスよりそうとう筋肉を使うであろうと思いました。
動きがシンプルであれば、あるほどごまかしがききません。
神社でよく拝見する神楽「浦安の舞」もそうですが、静かで動きも少なく一見するとインパクトがない様に見えて、そうではなく物凄い存在感と凛とした一本筋の通った姿は、見ているだけで心があらわれた気分にさせられます。
まさにそんな感じがしました。
本物と言うものは、こういうものであると言う事を静かに、それでいて印象強く教えていただいた気がします。
今回は古来より伝わる日本の古典芸能の素晴らしさを、これでもかと心に刻み付けました。
まだまだ、この世の中には知らない事が沢山あります。
これからも、もっともっと多くの日本の古典について、頭で学ぶのではなく心で感じる事ができるようになりたいと思いました。
不思議な事がありました。
薪能が終わり、各エリア毎に会場を出るのですが、私たちが新南門を出て、ほんの少しして「サー!」と雨が降り始めました。
何というタイミングなんでしょう、まるで全てが終わったのを見ていたかの様なタイミングで、境内を雨でお清めして下さった様です。
今回、私が薪能を拝見できたのは、一度もお会いした事がない方からのお誘いでした。
昨日もお会いできませんでしたが本当に感謝です。
なんと!この薪能を見たいと言う方が多くて募集人数に対して応募された方が物凄く多く「12倍」と言う難関から選ばれ招待券をいただき、その有り難い招待券を私に送って下さったお心遣いに重ねて感謝いたします。
神様とのご縁、能とのご縁、そして人とのご縁、全てのご縁にありがとうございます。
