たんば女性STORY女性182~「だいじょうぶ」の花束 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

一緒にいると、安心出来る人だ。

この人は、「だいじょうぶ」の花束を、会う人に手渡している。

 

松本緑さんは、1962年、岐阜県多治見市生まれ。

父は陶器商だった。母に、兄と妹。祖父母、曾祖母も同居する

大家族で育った。

物心ついてから中学を卒業するまでは、ほとんど勉強することなく山や川で遊びに遊んでいたという。あまり屋根の下に居たことはなく、山猿のように山を駆け巡り男の子たちと毎日遊んでいた。

「山で道なき道を走っていた体験からか、今でも体の中に方位磁石が内蔵されている。車を運転する際には通ったことのない道ばかりを走る癖があったようで、ナビなくても迷わず目的地に行けた」

自然の中で飛び回った子ども時代の心そのままに、今も生きている。

 

金城学院高校、金城学院大学文学部社会学科。

ご本人曰く、山猿だった過去をカモフラージュするかのように、ミッションスクールのお嬢様学校に通った。良妻賢母になるべく。

大学在学中に、お見合いをして、大学卒業式の2週間後に結婚。

学生の次に経験したのは社会人ではなく妻。翌年には母に。

 

兄が若くして亡くなり、その3人の子を母が預かって育てた。

3番目の子に発達障害があった。その子の居場所を作ることが、今の道に繋がった。

緑さん自身、3人の子育てをする親となってから臨床心理学の学びを始めた。神戸女学院大学大学院、京都大学大学院教育学研究科で研鑽を積んだ。

丹波市氷上町の子育て学習センターのインストラクターとして5年間お母さんたちに寄り添う活動を経験。

自宅で子育てほっとサロンを開き、女性やファミリーカウンセラーとして子育てサポートの日々を送った。

 

発達教育を改めて学ぶこととなり、児童精神科医佐々木正美先生に師事。ノースカロライナ大学にも渡米し自閉スペクトラム症の実践研修を積んだ。

やがて日本にノースカロライナで学んだことの詰まった学校を作ると決意。

三田市にさくらこどもセンター、丹波篠山市の大自然の中にさくらこどもセンターエリクソン校、神戸市異人館の近くに神戸北野校を開校した。

 

自分の気持ちをうまく伝えられない。他の人と世界の認識のしかたが違う。自閉症をはじめとした、発達障がいの子どもたちは、人間関係を築くのが苦手なことが多く、毎日の生活の中で、生きづらさを感じている。

さくらこどもセンターは、自然環境豊かな環境の中で、子どもたちが、毎日の生きにくさから解放されて、その子らしい「歩み」が持てるような独自のプログラムに基づいて運営している。

一人ひとりの子どもの目線やスピード、発達段階にあわせた教育だ。大人の世界に、子どもを引っ張るのではなく、一人ひとりの世界に、のぞかせてもらうように入っていく。

そして、その子にとって圧力になっているものを、一つ一つ除いていけば、その子「らしさ」の芽は、どんどん伸びていく。

「普通」や「あたり前」と比べるのではなく、一人ひとりの「らしさ」とじっくり向き合い、芽ばえをていねいにつむぐ。人としての大切な軸をつくり、将来の自立につなげたいと願って。

「だいじょうぶ」と優しく声をかけながら。

 

 

松本緑さん出演の「たんば女性STORY」は

きょう1月30日、2月6日、13日20:00~、

その週の土日10:00~、FM805で放送予定。