鮫島弘子さんに会う | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

鮫島純子さんが亡くなられて、1年になる。(命日1月19日)

その純子さんのお引き合わせだろうか…。孫の鮫島弘子さんにお会い出来た。

弘子さんは、エチオピアで革製品のデザイナーとして活躍しているが、いま帰国中で、大阪・梅田の阪急百貨店で展示即売をしているとの情報を得、スキマ時間を利用して行ったのだ。

 

弘子さんは、幼ない頃から、利他の精神で生きる祖母の姿に接し強い影響を受けた。よく代々木の祖母の家にも行った。

絵を描いたり、ものを作ったりするのが好きな子どもだった。

学生時代は現代美術を専攻し、学校を卒業後、化粧品メーカーにデザイナーとして就職したが、大量生産、大量消費のものづくりに疑問を感じ、3年で退職。

青年海外協力隊に応募してエチオピアへ赴任。

 

今となっては「呼ばれた」としか思えない出来事があった。

青年海外協力隊に申し込んだ後、実際に赴任するまで、好きな国を周ろうと、会社を辞めて海外旅行に出かけた。

南米に2カ月、東南アジアに1カ月、計3カ月間旅行して、その間にJICAから青年海外協力隊選考の合格通知が来ていた。

その後、たった一週間の間に、見ず知らずの、それぞれ全くつながりのない3人の外国人に、「エチオピアはいい国だ」と言われた。しかも3人とも自分の方からエチオピアの話はしておらず、普通の会話の中で彼らの方からエチオピアの話が出てきた。

当初はエチオピアではない国にしようかなと思っていたが、こんなに短期間の間にこれだけエチオピアの話が出てくるのは普通ではありえない、これも何かの思し召しだと、JICAにエチオピア赴任を承諾するメールを送った。

2002年2月、青年海外協力隊のデザイン隊員としてエチオピアへ赴任した。

 

帰国後、外資系ラグジュアリーブランドに入社し5年間マーケティングを経験したのち、2012年、エチオピアンシープスキンを贅沢に使用した製品の企画・製造・販売を行う会社andu ametを設立。

「andu amet」(アンドゥ アメット)とは、エチオピア語で一年(ひととせ)という意味。革は化学繊維とは異なり、一年一年、年を重ねるごとに、使い込むほどに味が出てくる。時の積み重ねを大事にしていきたいという気持ちを込めた。

創業当初から、原料の調達から製品づくり、製品をお届けした後まで、関わる工程すべてにおいてエシカル・サステナブルであることにこだわり続けてきた。

目の前に映る色や形だけでなく、その背景にある無数のストーリー1つ1つも一緒に輝いてこそ、本当に美しい製品だと思うからだ。

作る人、売る人、買う人みんなが幸せになるようなものづくりをしたいと強く思う。『あきない世傳』の「売っての幸い、買うての幸い」と同じだ。

 

andu ametが実施するエシカルの取り組みの中で、特に大切にしている4つの視点がある。

まずは、自然環境への視点。革はなめす過程で大量の薬品や水を使用するため、工場には使用後の水をきちんと浄化して自然に戻すシステム完備が不可欠。

andu ametでは、基準に見合った環境対策を講じているタナリー(革の製造工場)とのみ契約。契約後も、すべてのタナリーに定期的に足を運び、環境基準をクリアしていることを直接確認した上で革の仕入れを行なっている。
次に動物への視点。

昨今、世界的に食肉量が増加し続ける一方、余った革(主に牛革)が廃棄されてしまっているという現実がある。

andu ametが製品に使用している革は、すべて食肉の副産物として生じたもの。こうした資源に着目し、新たな命を吹きこむこと、規格外の革や小さな端切れに至るまで余すことなく使い切ることこそ、いただいた生命に対し感謝や敬意を表することであると考えている。

生産地への視点も忘れない。

エチオピアは最高峰のシープスキン(羊革)の産地でありながら、国内の技術力の乏しさゆえ、革の状態での輸出に依存していた。

輸出された革は国外でバッグやジャケットなどの形になり、そこで高い付加価値がつくものの、産地であるエチオピアには富がもたらされず、技術力を持つ職人も育たない状況が続いていた。
andu ametはエチオピア現地に直営工房を構え、現地の若手職人たちを直接雇用した上で、日本や世界で通用するよう技術指導を行っている。

職人たちには、高い技術力に見合った適切な報酬を支払うのはもちろん、彼らが職人として誇りと喜びを持って働くことができるよう環境を整備し、能力開発と生計向上に努めている。

そして、マーケットへの視点。

創業以来、andu ametは“ラグジュアリーブランドであること”にこだわり続けてきた。顧客の一生に寄り添えるような製品を世に送り出すことこそが、究極のサステナビリティであると考える。

andu ametの製品は、決して手頃な価格帯のものではないが、

その分、ともに時を重ねていけるような製品だ。

トレンドに左右されないオリジナルデザインの開発、世代を超えて受け継ぐことのできる上質な素材の使用、熟練の職人による丁寧な縫製、さらには無期限のアフターフォローもする。

 

エシカル・サステナブル。道徳的倫理的消費で持続可能な未来社会。もうこれはどう考えても、渋沢栄一の「論語と算盤」を受け継いだとしか思えない。そして、鮫島純子さんの「どんなことにも有難う」という感謝神経も遺伝している。

ボクも共感して、カバンを求めた。

エチオピアを感じながら、純子さんを感じながら、使いたい。

(鮫島弘子さんと。どこか純子さんの面影が…)

(梅田阪急百貨店1階特設売り場)30日まで。

(ボクが求めたカバン)

(銃弾をリサイクルして作ったアクセサリー)

このあと、各地を回る。

1月31日(水)~2月6日(火) 静岡伊勢丹1Fエントランス 

2月14日(水)〜2月20日(火) 伊勢丹新宿本店5F

2月21日(水)~2月27日(火) 髙島屋横浜店3F

2月23日(金)~2月28日(水) 福屋八丁堀本店2F

3月6日(水)~3月12日(火) 髙島屋京都店3F

3月27日(水)~4月2日(火) 大丸福岡天神店 東館3F

4月17日(水)~4月23日(火) 岡山タカシマヤ