ボクは、無類の蕎麦好きだ。
富山に滞在中も、3日連続で蕎麦を食べた。
そのうちの一軒、八尾町にある『月の音』。
まるでペンションのような外観。
蕎麦粉を使ったピザやお好み焼きの前菜に続いて、
蕎麦登場。喉越しのいい美味しい蕎麦だった。
蕎麦に夢中になっていたら、隣席の女性が声をかけてきた。
「ひょっとしたら、アナウンサーの方ですか?」
「はい」
「NHKの村上さん?」
「はい」
「17年前に、ラジオに出したお便りを読んでもらったんです」
ここで、またラジオのご縁が出来た。
富山で「ことば磨き塾」をしていて、次の日に開催すると案内をした。
はたして、翌日、その人は現れた。
1時間ほど遅れての参加だったが、場の空気にすぐ馴染んだ。
気さくな性格、無邪気な性格で、物おじしない。
その人の名は、苗代ひろみさん。八尾町の老舗餅屋「苗代屋」の女将だった。
受講生たちも、よく知っている店らしく、
あっという間に、人心をつかみ、その場の主役となった。
蕎麦の縁、ラジオの縁が、こうして繋がり、
まさにその名の如く、「苗代」みたいな人だった。
(苗代ひとみさんと)