知らないことを知る楽しみ | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

昔、NHKの『クイズ面白ゼミナール』という番組で、司会の鈴木健二アナウンサーが冒頭「知るは楽しみなりと申しまして、知識をたくさん持つことは人生を楽しくしてくれものでございます」と決まり文句を言っていた。ほんとうにその通りだ。知らないことを知るのは、楽しみにほかならない。

知るためには問わなければならない。

知るためには、聴かなければならない。

すなわち、問いと答え、ことばのやりとりで知ることが出来る。

 

きょうのNHK文化センターの講座『ことばの取扱い説明書』では、

まさに知る楽しみを味わった。知らないことを教えてもらった。

『VALORANT』(ヴァロラント)という流行りの戦闘ゲームがあるそうな。先日、埼玉スーパーアリーナで開かれた日本大会には、26000人が集ったそうだ。中3の息子の付き添いで行った母は、専門用語が飛び交い狂喜乱舞する息子の姿に唖然とした。仮想空間で育まれた若者たちの「言葉」が心配だ。仲間内だけで通じる言葉の世界で育った彼らの行く末に何が待っているのだろう…。

 

『メイドインアビス』という漫画があるそうな。

人類最後の秘境と呼ばれる、未だ底知れぬ巨大な縦穴「アビス」。

その大穴の縁に作られた街には、アビスの探検を担う「探窟家」たちが暮らしていた。彼らは命がけの危険と引き換えに、日々の糧や超常の「遺物」、そして未知へのロマンを求め、今日も奈落に挑み続けている…。既刊10巻330万部を超えるファンタジー漫画。

その中で「度し難い」ということばが再三使われているそうな。

道理を説き聞かせてもわからせようがない。救いがたい。どうしようもない「度する」は済度の略で、救済することを意味する。

漫画はキャラ作りや印象づけのために、決めセリフや決めギャグのようなものを取り入れることがあるが、メイドインアビスの場合はあえて「度し難い」のような日常的に使わない表現を取り入れて、キャラの印象づけを狙ったのかもしれない。

 

香りの表現に3つのことばがあるそうな。

香水は時間が経つとともに、香りが変化していく。
つけて初めての香りがトップノート、少し時間が経ってから香るのがミドルノート、 香水の香りが消えるまでの香りがラストノートだそうだ。

基本的に、トップノートが5~10分、ミドルノートが30分~1時間、ラストノートが3時間以上持続する。

最初の印象はトップノートだけなので、きちんとミドルノート、 ラストノートまでの香りを知ってから決めるのがいいといわれる。

ミドルノートが落ち着いた香りで、このときに人前に出るのが一番いいそうだ。
 

知らないことを3つも教えてもらえ、お得感満載の時間。

やはり、ここは「めだかの学校」なのだ。

 

『メイドインアビス』から