論語知らずの論語塾76~座右の銘 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

後漢時代、崔瑗(さいえん)という文人がいた。

彼は、気をつけておきたいことを、自分の座る右側に書き出し、

折に触れて読んで反省していたそうだ。

「座右の銘」の語源は、そこにある。

その最初に

人の短を道うこと無かれ、己の長を説くこと無かれ」とある。

道と書いて訓読みで「いう」と読む。

「他人の悪いところをあげつらうな。自分のいいところを自慢するな」。

いの一番にこう書いているということは、ついつい悪口も自慢も口に出てしまうということだろう。

この言葉は、空海の座右の銘としても知られる。

 

「河海は、細流を択ばず」(史記)

大河や海は、どんな小さな水の流れも受け入れる。

「来るもの拒まず」の意だ。

どんな相手も、好き嫌いをせず、選り好みせず、受け入れていく度量が必要だ。

 

論語にも、こうある。

成事は説かず、遂事は諫めず、既往咎めず

出来上がったことに、とやかく言わない。終わったことに意見しない。

過去のことは問題にしない。

度量の大きな人間は、いつも未来志向。

だからこそ、過去には、寛容でいられるのだ。

 

自分中心で、狭量な考えでいたら、嬉しい人生にはならない。

座右の銘を心に刻みながら、寛容でありたい。

 

(論語塾のアフターランチ。井上シェフのスペシャル。

ぼくがチョイスしたのは、鱒のフリッター、ヨモギとチーズの焼きニョッキ

、カボチャのスープ。これにパンと珈琲ついて1000円)