後漢時代、崔瑗(さいえん)という文人がいた。
彼は、気をつけておきたいことを、自分の座る右側に書き出し、
折に触れて読んで反省していたそうだ。
「座右の銘」の語源は、そこにある。
その最初に
「人の短を道うこと無かれ、己の長を説くこと無かれ」とある。
道と書いて訓読みで「いう」と読む。
「他人の悪いところをあげつらうな。自分のいいところを自慢するな」。
いの一番にこう書いているということは、ついつい悪口も自慢も口に出てしまうということだろう。
この言葉は、空海の座右の銘としても知られる。
「河海は、細流を択ばず」(史記)
大河や海は、どんな小さな水の流れも受け入れる。
「来るもの拒まず」の意だ。
どんな相手も、好き嫌いをせず、選り好みせず、受け入れていく度量が必要だ。
論語にも、こうある。
「成事は説かず、遂事は諫めず、既往咎めず」
出来上がったことに、とやかく言わない。終わったことに意見しない。
過去のことは問題にしない。
度量の大きな人間は、いつも未来志向。
だからこそ、過去には、寛容でいられるのだ。
自分中心で、狭量な考えでいたら、嬉しい人生にはならない。
座右の銘を心に刻みながら、寛容でありたい。
(論語塾のアフターランチ。井上シェフのスペシャル。
ぼくがチョイスしたのは、鱒のフリッター、ヨモギとチーズの焼きニョッキ
、カボチャのスープ。これにパンと珈琲ついて1000円)