『てぶくろ』は、ウクライナ民話をもとにした絵本。
日本では1965年11月、福音館書店から刊行された。
以来173刷。57年間、327万部のロングセラーとなっている。
その絵本が、ロシアのウクライナ侵攻後、平和を願う声とともに話題になっている。出版社にも続々問い合わせが来ている。
おじいさんが、森の中に手袋を片方落としてしまう。
落とし物の手袋に、動物たちが「わたしもいれて」「ぼくもいれて」と次々にやってくる。ねずみ、カエル、うさぎ、きつね、おおかみ、いのしし…、そしてクマまで。小さな手袋の中に、動物たちがひしめき合う。
単純な繰り返しだが、これぞ絵本の王道。
この繰り返しのリズム感に、ワクワクドキドキハラハラがある。
昔話の典型的な面白さがある。
動物たちが、みんな違う民族衣装を着ている。
いろんな民族が、狭いところに譲り合いながら入る。
もう、この先は何をかいわんやである。
ウクライナの子どもたちが、お父さんやお母さんと安心して
絵本が読める日が来ることを願わずにはいられない。