自己紹介は、実はいちばん不得手なんです。
ここまで話しても語り切れない、
もっとここを語ったらいいのかな
言葉が上辺だけになっていないかな
自分の本当は、自分自身でもわからないので、
本当の自分のことを言ってないような気がするんです。
かりそめのというか、表向きというか、
格好つけているというか…。
肩書きを言って、生まれを言って…通り一遍のことを言うのもどうかと思い…言葉を生業にしているわりには、自分のことをことばに置き換えるのは、とてもとても難しいと思っています。
小さい頃から、人見知りの引っ込み思案で、目立たない子どもでした。
授業中に手を挙げることも出来ないし、
人と話をしていると、すぐ顔が真っ赤になるし、
ひどいときは、頬っぺたがピクピク震える顔面神経痛になったこともあります。
まさか、自分が言葉を生業にするなんて、これっぽちも思っていませんでした。
なぜ、アナウンサーを選んだか、人と関わる仕事を選んだかということですが、短い時間でせんじつめて言うと、ことばとの出会い、人との出会いです。
ボク自身は話すことより書くことが大好きだったので、書くことを生業にしたいと思っていました。
大学3年生のとき、大学の先輩のNHKアナウンサー中西龍さんにお会いしました。
ことばの一つ一つに魂を込めて話す人で、中西さんの声とことばに魅了された人がたくさんいたんです。
ボクは、中西さんのことを全く知らないままにお会いしました。
「アナウンサーの魅力は何ですか」とボクが聞いたら、「人の喜びを倍にして、哀しみを半分に減らすことだ」と言われました。
そのことばを、22歳のボクがよく聞き逃さなかったなと、今から振り返っても思います。ことばが人生を変えるんです。
そのことばを聞いたことで、「人の喜びを倍にして、哀しみを半分に減らす」仕事があるなら、アナウンサーを目指したいと思うようになりました。ことばのご縁で、この仕事を選んだわけです。
信夫という名前は、建仁寺の当時の管長、竹田益州さんにつけてもらいました。「人に言う」と書きます。名は体を表すといいますが、この仕事を選んだのは必然的なことだったのかなと思います。
…とクラブハウスで不得手な自己紹介をした。
ルームの主宰者の金丸みすずさんは、リーディングをされる。
啓示で、個人の深層心理や、過去の体験などを読みとる人だ。
自己紹介を涙ぐみながら聞いていたみすずさんは、やおらスゴイことを口にされた。
「キリストのような姿が見えました。神様なんです。
長い黒髪で、髭を生やし、杖を持ち、白い布を纏った姿。
日本人のようで日本人でない。
動かず、静かなやさしい微笑みを浮かべて、
雲の上から見渡している。
命あるすべての幸せを祈っている。
自ら赴かなくても、周りから人が集まってくる。
元気を取り戻したり、エネルギーに触れたくなってやってくる」
面はゆいことだが、神さまとまではいかないが、
「嬉しいことばの種まき」という使命を言い当てられている気がする。
あくせく動き回らず、静かな笑みを立ながら
問わず語りに聞いている、そんな姿を理想としたい。