「不要不急」ということばを考えてみた | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

NHK京都文化センターの講座「ことばの取扱説明書」第6講。

非常時、隔離、撃退、自粛…気が滅入ることばが飛び交う。

中でも、「不要不急の外出を控える」といわれると、

外出が罪のように思えてくる。

不要とは何か、不急とは何か、みんなで考えてみた。

必要でないこと、急ぎでないこと。

生活するために生きていくために「不要」なことなどない。

ただ、趣味や花見などは、何が何でも急いですることでもない。

だから「不要」と「不急」を同時に並列にしないほうがいいのではないか。「不要不急」と言われても抽象的でわかりにくい。そのくせ、責め立てられているような気になる。

「お急ぎでないことは控えましょう」

「日常生活に関わらないことは控えましょう」

「時間があるときに出来ることは、先延ばししましょう」

こんなふうに言われたら、促されている感がある。

嬉しくない表現には、烙印を押され、レッテルを貼られているような感覚がある。

 

引き続き、嬉しくないことばを嬉しいことばに変換するワークをした。

●(上司に)それ、おまえの仕事だろ!→引き続き、責任を持ってやり遂げてくれたまえ

●(生徒に)でぶ!→ふくよか

●(家族に)結論を先に言って!→いろいろ説明してくれて助かる

●(年下から)ご苦労さん→有難うございました

●(上司に)いつまでやっているんだ!→一緒に手伝おうか!

●(妻に)少しくらい手伝ったらどう?→一緒にやると早く終わるよ。

 

ことばの取扱いに配慮しないと、相手を攻撃する刃になってしまう。

多くの人を操作するプロパガンダになってしまう。