空白の日本史 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

日本の歴史には、語られない「空白」、書き残されていない「空白」、

教えられない「空白」がある。

その「空白」にこそ、真実があるような気がする。

その「空白」にスポットを当てた本を読んだ。

本郷和人さんの本は、いつも興味をそそられる書き方がしてある。

 

天皇家と神道は密接な結びつきがあるように思われているが、

実はさにあらず。

明治政府の方針もあって、皇室が伊勢神宮を重要視するまで1000年もの「空白」がある。飛鳥時代に持統天皇が伊勢神宮を参拝して以来、明治天皇が参拝するまで、およそ1000年の「空白」があるのだ。

 

平安時代の文学史料には、庶民のことは書かれていない。当時の貴族たちには、平等や博愛精神が皆無。京都以外には関心がなかった。ゆえに庶民の歴史に「空白」が出来た。

 

男尊女卑が進んだのは、明治以降のことであって、それまでは女性を冷遇はしていない。特に平安時代は、恋愛対象として女性は遠い存在だった。女性史にも「空白」がある。

 

歴史は、為政者の都合で塗り替えられることが、しばしばある。

偏った歴史観を植え付けることで空白が生まれることもある。

空白に焦点を当てることで、従来とは違った歴史観が見えてくる。