2年前の秋、はまっていたドラマがあった。『この声をきみに』。
朗読が人生を変えたとうヒューマニティあふれるドラマだった。
ドラマのモデルにもなった場所が実際にある。
朗読塾「ソフィアの森ボイスアカデミー」。
主宰の斉藤ゆき子さんが書いた本を興味深く読んだ。
そこには、人生を変えた21の実話が書かれている。
いずれも、微笑ましいエピソードばかりだ。
この朗読塾では、
来るだけでポジティブになれて、安心感と楽しさに満ち溢れる場所を
目指すことをポリシーにしている。
ただ単に、読み方のコーチだけでなく、一人一人の可能性を引き出し人生を輝かせることを心がけている。
声は、その人にしか出せない楽器。
笑顔、口角、身振り手振り、心…すべてが連動し、その人の声を作り上げるといってもいい。
朗読は、ただ文字を読むだけでなく、風景や香りまでも聞き手に届けるもの。感情の一歩先に行くには、何度も何度も読み込むしかない。
朗読を通して、人を認め、人に認められる。
人を褒め、人に褒められる。
お互いが心を通わせ、元気になれる。
仲間の温かさに包まれる。
自己否定をしたり、コンプレックスを持ったりしていた人が変わった。
仕事の鬼で上から目線の物言いをしていた人が丸くなった。
家族の中で浮き上がっていたお父さんが、家族の輪に戻れた。
難病で車椅子生活の方が生き甲斐を見い出せた。
脳梗塞のリハビリを朗読が支えた。
介護施設で漱石を読み続けた信念が、周囲の眼差しを変えた。
そんな奇跡の物語を読んでいると、朗らかな気持になれる。
朗読は、読んで字のごとく、「朗らかに読んでもらい、朗らかな気持ちにしてもらえるもの」と思う。