論語知らずの論語塾は、もりだくさん。
孔子はもとより、栗山英樹さんも出てくれば、
渋沢栄一も出てくる。
ラジオ番組さながら、安岡塾長と村上塾頭の掛け合いで、
論語知らずでも楽しめる。
渋沢栄一は、論語をこよなく愛した。
論語をなめるように読み、実践していった。
論語のエキスを、日常生活や仕事に生かしてきた。
「一言一句が、すべて実際の日常生活に応用がきく。読めばすぐ実行できるような基本の道理を説いている」と述べている。
自ら、論語の解説を書物にしている。
解説の中で、明治政府や軍人の人物批評もしている。
どうやら長州に辛く、薩摩に甘い傾向がある。
自分の善行を人に自慢せず、辛いことは人に委ねず自分でやるような人を「陰徳」のある人という。
伊藤博文や井上馨は自慢したがるが、西郷兄弟は陰徳の人。
大山巌にいたっては、「陰徳の大器」と手放しの褒めようだ。
日露戦争の時、満州軍総司令官として陣頭指揮をとったが、
泰然自若としていたそうだ。
孔子は、道に志し、徳も仁も大切だが、芸に遊ぶことも大事だと説いた。渋沢は、文献をひもとき、「徳とは、自らやましいことがなく、外に利を求めて他に害を及ぼすような憂いをなくす心情」と解説している。
また「仁とは、博く愛すること。他へ幸福を分かち与えようとする心情である」と述べている。徳と仁は人の心情の根底におくものだが、これだけでは人間が堅すぎて窮屈になってしまうから、趣味を持ったほうがいい。政治家は政治ばかり、学者は学問ばかりにとわられがちだが、趣味を持たないと完全な人物にはなれない。