論語知らずの論語塾51~渋沢栄一は薩摩びいき!? | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

論語知らずの論語塾は、もりだくさん。

孔子はもとより、栗山英樹さんも出てくれば、

渋沢栄一も出てくる。

ラジオ番組さながら、安岡塾長と村上塾頭の掛け合いで、

論語知らずでも楽しめる。

 

渋沢栄一は、論語をこよなく愛した。

論語をなめるように読み、実践していった。

論語のエキスを、日常生活や仕事に生かしてきた。

「一言一句が、すべて実際の日常生活に応用がきく。読めばすぐ実行できるような基本の道理を説いている」と述べている。

自ら、論語の解説を書物にしている。

解説の中で、明治政府や軍人の人物批評もしている。

どうやら長州に辛く、薩摩に甘い傾向がある。

自分の善行を人に自慢せず、辛いことは人に委ねず自分でやるような人を「陰徳」のある人という。

伊藤博文や井上馨は自慢したがるが、西郷兄弟は陰徳の人。

大山巌にいたっては、「陰徳の大器」と手放しの褒めようだ。

日露戦争の時、満州軍総司令官として陣頭指揮をとったが、

泰然自若としていたそうだ。

 

孔子は、道に志し、徳も仁も大切だが、芸に遊ぶことも大事だと説いた。渋沢は、文献をひもとき、「徳とは、自らやましいことがなく、外に利を求めて他に害を及ぼすような憂いをなくす心情」と解説している。

また「仁とは、博く愛すること。他へ幸福を分かち与えようとする心情である」と述べている。徳と仁は人の心情の根底におくものだが、これだけでは人間が堅すぎて窮屈になってしまうから、趣味を持ったほうがいい。政治家は政治ばかり、学者は学問ばかりにとわられがちだが、趣味を持たないと完全な人物にはなれない。