13坪の小さな本屋の奇跡 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

『13坪の本屋の奇跡』は、

今年創業70年を迎えた大阪の隆祥館書店の活動を紹介しながら、出版界の謎である流通ルートの慣習をあぶりだすノンフィクションだ。

13坪のスペースには、原発、人権、環境、事件事故など社会問題を扱った本が多い。店主の二村知子さんがゲラや見本を見てセレクションしている。顧客の好みも熟知して、関心ありそうな本を勧めている。

父の善明さんの後を継ぐべく、書店に入って25年になる。

「町の書店は毛細血管みたいな存在。地域の人が欲しい本がわかっている。きめ細かい配慮が出来る。

 

書籍の流通ルートに問題提起している。

まずは、ランク配本。店の坪数によって、取次と出版社が協議して機械的に配本数が決められていく。坪数が小さいというだけで卸してもらえない。

そして、見計らい配本。注文しなくても出版社の思惑で大量に書籍が届く。

なんとか実績配本にならないものか。

ことし9月、二村さんは、ドイツ・フランスの書店事情を視察してきた。ドイツでは、Amazonの影響が少ない。Amazonより早い即納システムがある。取次が80社もあるのだが、書店と連携して顧客の予約注文をスピーディーに配本するシステムがある。

 

隆祥館書店では、2011年10月から、「作家と読者の集い」を開いている。すでに246回。

書店は地域文化の発信拠点の役割を果たすべきと考え、作家と読者の橋渡しをするイベントだ。ボクも6回参加している。

読者に近い地域の書店が、顧客の要望を出版社に伝える意味合いもある。

 

二村さんは、かつてシンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)の日本代表選手だった。

コーチの井村雅代さんに鍛え抜かれた。練習がきつく成果の出ない自分に限界を感じ、辞めたいと弱音を吐いたとき、井村コーチに言われたことばは忘れられない。そのことばが、いまでも支えになっている。

「限界はあんたが決めるんやない」

 限界は自分で決めるものではない。敵は自分の妥協にある。

そう思いながら、流通ルートの改善を実現出来るよう、

13坪から声を上げ続けている。

 

(隆祥館書店店頭にて 二村知子さんと)

(二村さんと初対面の時 2012年3月)

 

二村さんには、22日10:00~の

文化放送「日曜はがんばらない」に電話出演いただき、

この本の話をもとにインタビューしている。