会場に着いてから思い出した。
ここには来たことがあるぞ。
建物のたたずまい、会場の雰囲気で気がついた。
ちょうど10年前の7月、
「鎌田實いのちの対話」の公開放送をしたところだった。
ゲストに、宗教学者の山折哲雄さん、作家の嵐山光三郎さん、
歌手の加藤登紀子さんを迎え、「死に方上手」をテーマに話し合った。ところが途中で大きく会場が揺れた。
新潟県中越沖地震に伴う揺れだった。
生放送は地震速報で中断され、後半を録音して後日放送した。
そんなゆかりのある場所、流山市民会館に、また来る機会を得た。
流山市教育研究会の講演に招かれた。
会場には、流山市内の小中学校の教諭およそ800人が集まった。
機会を作ってくれたのは、流山市の井崎義治市長らしい。
井崎さんとは、柏二中の同窓生。
それも去年開かれた同窓会で判明した。
8組まであったので、クラスが違うから知らなかったのだ。
その時、知遇を得て、今回の縁に繋がった。
「らしい」というのは、きょう会場に来られた教育長の後田博美さんによると、「市長は要求を押し付ける人ではなく、さりげなくこういう人がいるよと言われただけで、ボクが独自に調べて白羽の矢を立てたんですよ」ということだった。
そして、流山市教育研究会事務局の流山北小学校校長の宮本信一さんから、講演依頼の連絡が来たのだ。
その宮本さんから、講演後、嬉しいメールが来た。
「村上さんのお話一つ一つが、胸にずんずん響いてきました。
私はステージ袖でお聞きしていたのですが、
心の底から感動しました。
村上さんは丁寧に、優しくお話しされていらっしゃいましたが、
我々の心を動かす力がある、
村上さんをお呼びして本当に良かった、心からそう思いました。
『嬉しいことばの歌』では、歌詞がやさしくて温かくて、
図らずも涙が溢れました。
身近にこんなにもある『嬉しいことば』をもっともっと使いたい、
と同時に『嬉しいことば』を使える子ども達が増えたら
どんなに素晴らしいでしょうか。
また、小山薫堂さん作の絵本『パチパチのほし』の朗読も素晴らしく
村上さんは「映像を思い浮かべてください」とお話しされましたが
読み方で、あんなにもクリアに映像が浮かんでくるものなのですね!
おそらく、先生方は村上さんの朗読にも感動されたと思います。
(あの後、自然に盛大なパチパチが溢れていましたから)
村上さんのNHKの先輩、中西龍さんのお話を伺い、
我々教員も、ことばによって子ども達の『喜びを倍に、悲しみを半分
にする』ことができる職業だと改めて思いました。
9月1日の新学期から、
今日の村上さんのお話をうかがった流山の先生方は
きっと『嬉しいことば』を
子ども達にたくさん投げかけてくださると思います」
過分の褒め言葉だが、素直に嬉しい。
確かに、最初のうちはあまり手応えが感じられなかったが、
拍手のボルテージがしだいに上がっていった。
講演を終えて壇上から去るとき、惜しみない万雷の拍手が、
何より嬉しかった。
(NHKラジオ「いのちの対話」放送風景
2007.7.16)