デザートが出て来てオドロイタ。
なんと、なんと、ボクの本の表紙が、旗になってついてきたのだ。
ナプキンを見てオドロイタ。
ネーム入りのオリジナル。お持ち帰りOK。
料理もオドロキの連続。
今月から、コースより、アラカルト中心に移行したそうだ。
創意と工夫のメニューは、舌鼓が鳴るものばかり。
(燻製メカジキのマリネ)メカジキの燻製は珍しい。
(ウニとトマトクリームの手打ちパスタ)
大量のウニが、太めの手打ちパスタに絡む。
(ボルチーニ茸のパン粉焼き)
香りを包み込み、絶妙の食感。
オドロキの連続のレストランは、カシータ青山。
何より、いちばん顧客に真剣になることを心がけている。
ハードより、ハートというレストラン。
生涯顧客をどうしたら獲得出来るか、
いつも、そのことを念頭においている。
今回は、ご接待を受けたので、ボクが予約したわけではないのだが、
ビルの1階でサービスの男性が待ち受けていて、
「村上さまお待ちしておりました」。
どうしてわかるのだろう・・・。それがオドロキの幕開けだった。
紹介されて、取締役総店長の中山晃一さんと名刺交換した。
その2時間後に、あのデザートサプライズなのだ。
ボクのことを調べ、その著書の中から、これはと思うものをチョイスし、小道具を作ってくれたのだ。
そのチョイスが、我が意を得たりのものばかりなのにも感心した。
どうしたら、ありきたりでないサービスが出来るか、
どうしたら、お客に喜んでもらえるか、感動してもらえるか・・・
リッツカールトン元日本支社長の高野登さんは、
ホスピタリティーとは「本気のお節介」と言われるが、
ここで行われているサービスは、本気のお節介だと感じ入った。
それもこれも、レストランを運営する会社のCEOの高橋滋さんの
企業理念が、充分に浸透しているからだ。
高橋さんは、ボクより一つ年上だが、
写真で見る限り、精悍でエネルギッシュ。五十そこそこに見える。
オートバイ輸入販売の会社を経営していたが、
15年前に飲食に乗り出した。現在は、『カシータ』を運営する株式会社サニーテーブル代表取締役会長。
世界各地のホテルやリゾートを泊まり歩いてきた。
究極のリゾートと賞賛される『アマンリゾーツ』に出会い、
その質の高いサービスとホスピタリティに感銘を受けた。
『アマン』での体験と感動をもとに、2001年、東京・六本木にリゾートレストラン『Casita(カシータ)』を開業。
レストラン経営の知識ゼロにも関わらず、オートバイ販売で培った経営哲学と、客としての豊富な体験をベースにした経営手法で、若いスタッフたちとともに理想のレストランづくりに情熱を注いできた。『カシータ』を激戦の東京で、予約の取れないレストランに育て上げた。
生涯顧客の確保のため、愛情あふれるサービス、感動と驚きの演出を、シェフにもサービスにも常に課している。あえて商品力より接客に重きをおいている。
カシータを支えるのは、独自の顧客管理システムだ。
どういうシステムかは想像するしかないが、顧客の特徴を独自に集約しているのだろう。事後情報の蓄積ならともかく事前情報並びにその日その時のライブ感を大切にしている。初めて来て感動した客が、自分の知り合いにその感動を味わってもらいたくて、連れて来る。その連鎖が、生涯顧客を増やしていく。
その日のうちに、中山さんから丁寧なメールが来た。
その末尾に、「またのお帰りをお待ちしています」とあった。
(レストランを運営するサニーテーブルCEO 高橋滋さん)