子どもの頃からの寺好き | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

妙心寺には、46の塔頭がある。

日本最大規模の禅寺だ。

今回、ボクを講師にと推薦してくれた世田谷・龍雲寺の細川晋輔住職も、

ここで13年も修業を積んだ。ゆえに勝手知ったる場所のようだ。


塔頭の一つ、大法院に案内してくれた。

大法院は、信州松代藩主・真田信之(幸村の兄)の菩提寺だ。

信之の遺命で、孫娘の長姫が、寛文2(1662)に創建したと伝わる。

春秋の特別公開以外は非公開だが、細川住職の「顔」で入れてもらえた。

大法院の「露地庭園」は見事だ。

千利休は短歌で
『露地はただ浮世の外の道なるに心の塵をなぞ散らすらむ』と歌い、

露地を、人を茶室に導きいれる通路であるとともに、

雑念を払って茶の湯の世界にいざなうためのものと位置づけている。

露地は、何も飾らないありのままの、

もの静かな風情のたたずまいがよしとされている。

飛び石、石灯籠、つくばいが、案配よく配置されている。

露地を歩きながら、

茶室という異空間に入るまでに、俗世で乱れた心が鎮まる。

大法院には、幕末の思想家・佐久間象山の墓もある。

暗殺された時、松代藩士だった縁で、大法院に埋葬された。

東海本庵にも案内してもらった。

ここには、体(たい)、相(そう)、用(ゆう)の三つの庭がある。

白砂だけを敷き詰めた「体の庭」、

石が点在する枯山水の「相の庭」、

石や庭木、手水鉢などが置かれた坪庭「用の庭」。

それぞれに趣きがあるが、ボクは何もない「体の庭」が気に入った。

「無」の庭を見つめていると、自分自身と向き合える。


ボクは、小学校4年生まで京都にいた。

千葉に引っ越してから、年に数回、京都に戻り、

竹馬の友の長野享司くんと一緒に、京都中の神社仏閣を回った。

建物の佇まいも、仏像にも見入ったが、

庭を眺めながら、「内観」する時間が好きだった。

ちょっと変わった子どもだったのだ。





(大法院 肥田自豊住職)

(龍雲寺 細川晋輔住職)




(佐久間象山の書)




(東海本庵 体の庭)