きょう5月16日は、児玉清さんの命日だ。
早いもので、亡くなられて5年になる。
博覧強記の読書家、児玉さんには、
いっぱいいっぱい「佳き本」を薦めてもらった。
書籍に対する愛が満ち溢れていた。
昨夜は、そんな書籍愛、書店愛を持つ人々が集まる場にいた。
大阪・安堂寺町の隆祥館書店の二村知子さんを囲む会。
作家、出版社、取次店、顧客・・・書籍に関わる人々が集まった。
「書籍」という括りでいえば共通項のある関係者だが、
こうして一堂に顔を揃えるのは珍しいことだろう。
そして、共通項でいえば、みんな二村ファンばかり。
彼女の一本気な熱意にほだされた人ばかり。
シンクロナイズドスイミングの一線を退き、父の営む書店に関わって20年。
「AERA」現代の肖像に取り上げられた記念もかねて、
いわば二村さんの慰労と激励の会だ。
ボクも、発起人の一人。
そして、お祝いのつもりで司会を買って出た。
なごやかないい会だった。
あちこちのテーブルで「本にまつわる話」に花が咲いていた。
隆祥館書店には、売れる本より、売りたい本が品ぞろえしてある。
顧客の好みに合う本を薦めるという昔ながらの売り方が功を奏している。
参加した誰もが思うのは、二村さんの確かな目、目利きの良さだ。
「こうと思ったらまっしぐら」の二村さんは、書店界の常識を突破してきた。
知子さんの父・善明さんの遺したことば。
「書店は、作家と読者への橋渡し、心の交流をする場。
出版を、ただ売れればいいという商業主義の餌食にすることなく、
出版を文化として作家を支え、
読者が出版を育てる、この仲介者が書店と考えております」
その考えを知子さんは、しっかり受け継いでいる。
大阪が大好きだった児玉さんに、この書店のことを教えたら、
「アタックチャンス!」と言って、駆けつけてくれたことだろう。
作家を囲む会最多の4回登場)