TBS系列で土曜日の朝放送されている『サワコの朝』。
ムラカミは、この番組の密かなファンである。
いうまでもなく、抜群の聞く力を持つ阿川佐和子さんによって、
ゲストの構えがあっと言う間に緩み、解け、
他の聞き手の前では見せない素顔が見られるからだ。
ムラカミも、雑誌『清流』で対談したとき、
緩み、解け、いっぱい引き出しを開けられた体験がある。
阿川さんの肯定あいづち、ふわりとした斬り込み、切り返し、
計算しているようでしていないツッコミ・・・あっと言う間に丸裸にされてしまう。
今朝のゲストは、石田純一さん。
プレーボーイの名を欲しいままにし、決して好感度の高い人とはいえない。
ところが、阿川さんの手にかかると「いい人」になってしまう。
その人の「いいところ探し」がインタビューの究極の目的だと思う。
石田さん曰く、女性を口説くときに大切なのは、徹底的に「聞く」ことだという。
阿川さんと石田さん2人して「聞く力」とハモっていた。
ともすれば男は自慢話をしたがる。説教をしたがる。
そういう男はモテないと、石田さんは断言する。
かのクラーク・ゲーブルは、女性の前で3つのあいづちを打つだけで
ひたすら話の聞き役に徹したらしい。
そのあいづちとは「へー」「そーなんだ」「うそだろう」。
かのチャーチルは、
「人は、適確な批評より見え透いたおべっかを好む」と言っている。
大げさなくらい人を褒めると、おべっかとわかっていても、
悪い気になる人はいないだろう。
石田さんも、女性が褒めてほしいツボを心得ていたのだろう。
かのケネディは、自虐家だった。自分の失敗談を照れずに話した。
成功談は辟易とする。失敗談は親近感を抱かせる。
石田さんの「教養」にもとづく聞く力の極意は、面白かった。
それを引き出したのは、
阿川さんの「教養」を前面に出さない聞く力の極意によるものだった。