ふと思い立ち、名古屋からの帰途、豊橋に立ち寄った。
太田祥亘(よしのぶ)くんに会いたくなったのだ。
2年前の6月、偶然立ち寄った、豊橋名物菜めし田楽の老舗「きく宗」。
その店の入り口で、母と将棋を指していた祥亘くん。
まだ将棋は覚えたてだったが、礼儀正しい少年だった。
女流棋士の高橋和さんに紹介し、将棋入門書や将棋カルタを送ってもらった。
彼は、将棋にのめり込み、奨励会(プロ棋士養成機関)を
目指すまでになった。
いま研修会(奨励会の前段階)に合格し、研鑚を積んでいる。
夏休みに入ったばかりで、ボクが訪ねたとき、彼はいなかった
ボクが来たことを知らされて、出先から一目散に飛んで来てくれた。
2年ぶりに会う祥亘くんは、いま、小学校4年生。
まっ黒に日焼けし、たくましく成長していた。
「さっそく対局しようか」ということになった。
この局面で、よしのぶくんは、驚愕の1手を放つ。
先手よしのぶくん、後手ムラカミ。
なんと2三角と打ってきた。
この将棋は、よしのぶくんが、横歩取りの注文をつけてきたので、
それには、応じないで、局面を落ち着かせ、腰掛け銀に誘導しようとしていた。
そうしたら、角の打ちこみ!かなりの攻め将棋と見た。
無理攻めがたたり、ムラカミに軍配が上がったが、
2年であっと言う間に強くなったよしのぶくんに目を細めるムラカミであった。
(江戸、文政年間から続く「きく宗」 いまの5代目は祖父。
よしのぶくんは、7代目)
(太田くん一家)