NHKを憂えた退職者たちが動き出した。
前代未聞のことだが、それだけNHKの社会的立場、
後輩たちの置かれた現状を案じての行動だ。
ニュースキャスター、アナウンサー、プロデューサーなど
NHKの退職者有志が、18日、NHK経営委員会に
「籾井(もみい)勝人会長の辞任勧告か罷免を求める」声明を提出した。
声明は次の3点をあげて、経営委員会が籾井氏に辞任を勧告するよう求め、「会長が応じない場合は罷免を」と訴えている。
(1)就任記者会見での「政府が右というのを左とは言えない」などの発言は、NHKの基本的性格の理解を欠く。政府支持の姿勢を公的に発言した人物がNHKのトップに座り続けているという異常な事態は一刻も早く解消すべきだ。
(2)日本軍「慰安婦」に関して「戦争している国にはどこにもあった」と発言した。これは歴史の偽造であり、日本の戦争責任を考えるうえで到底受け入れがたい。
(3)国内外で現場は取材に困難を生じており、受信料の凍結や留保が広がっている。NHKが政府から独立した報道機関となることを改めて求める。
単に後輩が困っているとか、かつて働いたNHKが心配だからという
レベルでの申し入れではない。
NHKが政府から独立した自立的な放送機関として、
日本の民主主義の発展に寄与する存在であることを改めて求め、
現在の危機を回避することを要求するのが趣旨だ。
退職者有志には、
かつて午後9時のNHKニュースキャスター、
「ラジオ深夜便」などの番組で活躍したアナウンサー、
「NHKスペシャル」などのさまざまな番組に携わった
プロデューサー・ディレクター、記者などのほか、
番組制作を現場で支えたカメラマン、照明・音声などの技術担当者、
編成・営業・管理など事務職場など、
あらゆる職種のOB・OGが「呼びかけ人」として加わっている。
名簿を見ると、同じ職場で汗をかいた心ある人の名がある。
ムラカミも、やむにやまれぬ気持ちで、名乗りをあげた。