(8月11日 大島絵本館で)
鎌田實、伊藤栄子、柳田邦男、中江有里、
細谷亮太、中島朋子、児玉清、剣幸
中島潔、新妻聖子、長谷川義史、大島花子・・・
第1回から2人ずつゲストを招いて開いてきた『いのちの絵本』
7回目の今年は、歌手の石川ひとみさんと俳優の金田明夫さん。
石川ひとみさんは、ことのほか動物好き。
犬や猫を主人公にした絵本を紹介してくれた。
字のない絵だけの本「アンジュール」
1人ぼっちの少年と1匹ぽっちの犬の出会いを描いたものだが、
鉛筆デッサンのような絵だけなので、読み手の置かれた気持ちしだいで、
いかようにも想像が広がる。
処分されてしまう捨て犬捨て猫の施設を写真で紹介した「どうぶつたちへのレクイエム」は、リアルなせつなさが胸に迫る。
猫が、「ぼくはぼくでいい」という写真絵本は、
さりげなく自己肯定を訴える本だ。
B型肝炎になり自分を見失いかけた石川さんが、
猫の気持ちになって読んでくれた。
ムラカミは、被災地に思いを馳せてもらおうと「ハナミズキのみち」。
岩手県陸前高田市で、津波に命を奪われた息子に寄せる母の想いを
黒井健さんが絵にした。
津波到達点に、息子の好きなハナミズキを植えていく実話が絵本になった。
「いのちのふね」は、死んだ人が船に乗り、雲の上で若返り、また船で赤ちゃんとなり蘇るというストーリー。金田さん曰く「死ぬのが怖くなくなりました(笑)」
長田弘さんの詩にいせひでこさんが素敵な絵を書いた「最初の質問」は、
日頃忘れがちなことの自問自答から喚起させられることばかり。
そして金田劇場3本たて。それぞれに世界観を作るところはさすが。
子どもが幼いころ寝床を劇場にして配役を決め読んだ「じごくのそうべえ」、
面白いのなんの、落語を聞いているようだった。
濁点が主人公の「ぜつぼうの濁点」もメチャクチャ面白かった。
絶望がかわいそうと絶望から離れた濁点の行きつく先は・・・。
極め付けは、金田さんのライフワーク「あらしのよるに」。
暗闇でヤギのメイとオオカミのガブが仲良くなる物語は、大ベストセラーになっている。声色使い分け、身振り手振りで、まるで紙芝居屋のおじさん。
会場もヤンヤヤンヤの喝采だった。
来年は絵本館も開館20周年。
開館当初から関ってきているので、何らかのお役に立ちたい。