村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

京都新聞文化センター「ことば磨き塾」。

日常語の哲学。

「信じてください」~自分に対する情状弁護

●よほどのことがあったとき

●セールストークでいい印象ない

●宗教の勧誘 騙されるイメージ

●信じるも信じないも勝手

 

「というわけで」~相手を煙に巻くブラックボックス

●役所の会議で、時間内でまとめないといけないから

●流れを変える

●丸投げ

●真剣には言わない

●軽い言い訳チック

●女性はプロセスを聴いてほしいから、言わない

●プロセスを説明した上で総括するイメージ

●1対1では使わない

●強引に終わらせるケースと、

 しっかり説明するケースの両パターンある

 

「運がいいですね」~野心あふれる運命への挑戦状

●言われたらラッキー

●妬みを感じるのは受け取る側の問題

●努力の積み重ねの成果

●「運がいい」は他力本願的。

 「よかったですね」と自助努力を認めてあげたい

●運は作るもの ※中野信子「運のいい人」

 

「よくいうよ」~相手の態度対する素朴な疑問

●あきれ果てた末、連れ合いに言う

●暖簾に腕押しな相手に心の叫び

●トランプ大統領に言いたい気分

 

きょう、丸太町駅のエレベーターでのこと。

ボクが乗ったあとに次々人が来たので「開」ボタンを押していた。降りるときも「開」ボタンを押し、みんなが降りるのを待っていた。階上に着いたのに、すぐ降りない。降りても何も言わない。なんで「有難う」の一言がないのかと、いささか不満なムラカミ。それもそのはず期待感マックスだが、気が付けばボクも無言だった。「着きましたよ」「お先にどうぞ」と言えばよかった。

「有難うございました」を待つ前に、ボクから「有難うございました」を言えばよかったのだ。エレベーターボーイに徹すればよかったのだ。言うたもん勝ちや。

 

宝塚ことば磨き塾。

日常語の哲学。

 

「そっとしておいて」~自分の声を聞く機会

●恩着せがましくなく、ホッとする。

●本当の意味での心遣い

●孫にあれこれ言う子どもを諭すときに言う

●言葉で埋め尽くさないでほしい 想いを巡らせたいから。

●時間を置く。スルーはしていない。

●美術館で絵画解説始める人に言いたくなる

●仕事中に声かけられたら「放っておいて」と言いたくなる

●放っておくだと、遮断して突き放す感じがする

「そっとしておいて」と「放っておいて」はどう違うのかという話になり、チャットGPTに聴いてみた。

どちらも似ているが、距離感と気持ちが違うそうだ。

「そっとしておいて」は、相手を思いやってあえて何もしないこと。「気遣って距離をとる」「静かに見守る」というやわらかく、温かい印象がある。例えば、「今日は疲れているみたいだから、そっとしておこう」みたいな。

「放っておいて」は、「気にしない」「対応しない」「放置に近い」少し冷たい響き、突き放す印象になることもある。子どもが泣いているのに放っておくみたいな。

 

「おつかれさま」~対等なねぎらい

●こんにちはに近い感覚。挨拶。いささか形骸化。

●自分も相手も労う感覚

●子どもは言わない

●疲れていないのに…疲れているという先入観、レッテル貼り。

●ご苦労様かお疲れ様で迷うより、有難うは万能

●言い方しだい。ほっこり出来るようなニュアンスなら、ご苦労様でもお疲れ様でもいいのでは。

 

「ちょっといいかな」~お小言の前触れ

●周りに聴かれてはまずいことを別室で話すとき

●状況を把握するため

●言いことを話すときもある

●語尾上げと語尾下げでニュアンスが変わる 

 語尾上げは慮りがあるが、語尾下げは命令調

●相手の時間を借りるとき

●「ちょっといいかな」と呼び出され

 唐突に人事異動の通達を受けた

 

「ほらね」~正しさを考える余韻

●鬼の首取るように

●子どもに対してよく言った

●言わないと気が済まない

●関西人「ほら、見てみいや」

●関西人「そやろ」

●女性ことば

●「ほら」だけだと突き放した感じ

 

高野登さんとボクは、ともに1 9 5 3年生まれ。

二人とも、古希を過ぎているのに安閑とせず、全国各地を動き回っている。コキ世代の似た者同士。

高野さんは、リッツカールトンを 56 歳で辞め、ボクは、N H Kを 57歳で辞めた。

ほどなく、高野さんは「人とホスピタリティ研究 所」、ボクは「ことば磨き塾」を立ち上げて主宰している。

 

高野さんとは、60代になってから知遇を得た。

高野さんと知り合ったの は2 0 1 6年の秋。ちょうど10年前だ。

彼とのご縁は、大阪にある隆祥館書店のレジスター前で、一瞬たりと早からず遅からず、絶妙のタイミングで出会った。

二人に共通する思いは、「日本をもっとよくしたい!」。

これからの日本を支える 人づくりを志していることを知って意気投合。そして、このたび、同時に同じコンセプトで本を作ろうということになった。

 

「一寸先を闇にするのも光にするのも」自分しだい。

自身の笑顔で少しでも周りを照らせたら、社会を 明るくする助けになると信じる。少なくとも、光を放つものは闇にはならない。

一人ひとりが心に希望の光を灯す。その 第一歩が、「上機嫌でいること」。自分がごきげんでい れば、周りにもその波が伝わっていく。「上機嫌」に積み重ねが、日本をかっこいい国にしていくと思っている。

本のタイトルは、『日本をかっこよく!』。ボクの出演したYouTube動画『結美大学』の冒頭の決まり文句からいただいた。

 

この本の校正を終えたころ、高野さんからメッセージが届いた。

「村上さんの言葉は、聴く人の感性を磨き、不安を和らげる薬のよう」

「朝が来て、目が覚める。そして今日が始まる。その一日を輝かせる、村上さんだけの爽やかな声」

「村上さんをひと言で表すと優れた表現者。その声には、人の心を動かす力がある。表現の泉のようだ」

「伝えるを伝わるへ。人の心が輝くのは、伝わったとき。村上さんの真骨頂だ」

「村上さんの言葉は無農薬野菜のように、身体と心の細胞の隅々にまで染みわたってくる」

高野さんは、ホスピタリティの達人だが、褒め言葉の達人でもあったことが判明した。「嬉しいことばの伝道師」の称号をお譲りしたい。

 

この本には、ボクがこれまでに経験してきたこと、出会った人々、心に刻ん だ言葉たちを、肩肘張らずに綴った。

3年ぶり16冊目の本になるが、自分のことを本音で書いたのは、初めてだ。30日書店に並ぶ予定。