名古屋市西区主婦殺害事件,②(事件発生の流れ),未解決事件 | 明日へ向かって

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名古屋市西区主婦殺人事件

事件発生の流れ

1999年11月13日(土)この事件は発生しています。

朝、夫の悟さんが出勤する前後から被害者の奈美子さんが発見される午後2時までが注目すべき時間帯です。

詳細な時系列と共に当日の流れを追ってみます。

 

午前8時30分~午前9時

当日は土曜日ながら夫の悟さんは仕事に向かった(悟さんは不動産関係の会社に勤務)

普段は午前8時半ごろ出勤していたが、この日は家から現場に直行だったため、いつもより遅めに家を出たとのこと。

 → このあたり、悟さんが土曜日も仕事に出かけるということを犯人は知った上で行動した可能性もあります。

 

事件後、出勤前の様子を悟さんが語っている。それによると奈美子さんは夫の出勤を見送りつつ、自身も出かける準備をしながら、3階に住むママ友に電話で「息子に熱があり病院に行く」「車のキーはいるのかな?」という話をしていた。

(息子の航平君は前日から体調を崩していた。奈美子さんは前月に購入したばかりの赤い新車の側面を擦ってしまい、当日その補修を3階ママ友の夫がやってくれることになっていたため、「自分はこれから出かけるが、車の補修をしてもらうために、キーを渡しておいたほうがいいか?」という趣旨で訊いたもの)【追記】「車のキーは必要か?」と聞くと、「今日は休日だから、まだ寝ている」と言われ、電話を切った (文春オンラインより)

【追記】事件前日に「航平が下半身をかゆがるので、明日は病院で診てもらってくる」と悟さんに報告があった。

 

 → この様子から悟さんが出勤した後にすぐに外出する予定であったことが分かります。そしてママ友には病院に行く以外の予定については話していません。なお、ここで鍵を渡したのか、渡していないのかは不明。

 

事故に合い、その相手こそが今回の犯人でないのか(示談内容について揉めた末の犯行)という意見も散見しましたが、女性がこの手の車に関するトラブルで旦那さんに全くの相談もないということはまずありえないと考えます(せめて補修をお願いするママ友には多少なりとも話すはずです)

車によるトラブル関係の線はここでは触れない方向でいきたいと思います。

 

夫の悟さんは出がけに奈美子さんから「今日は図書館に行く」という話も聞いていた。事件後、返却予定とみられる本がそのまま置いてあったことから図書館へは行かなかった(行けずじまい)だったと考えられる。

 → 図書館は名古屋市西図書館かと思われます。アパートからは車で10分程度です。

 

午前9時30分

宅配便が高羽家を訪ねるが、不在のため不在伝票を置いて帰る。

午前10時20分

前述の3階に住むママ友が奈美子さん(固定電話)に電話するも応答なし

午前10時40分

同じママ友が再び奈美子さん(固定電話)に電話するも応答なし

この時ママ友は、「病院が混んでいるのか?」と思ったという。電話回数は計2回

(※柳川氏のレポートより)

 → 夫の悟さんが出勤後、奈美子さんは予定通りにすぐに家を出たと思われます。

しかし、夫の出勤後に来訪者があったのでは(犯人?)との推測もあり、午前中に争うような物音という証言と紐付けられている推理を見かけましたが、どうなんでしょうか。不在伝票や電話の応答がなかった件があるので

1.夫が出勤後にすぐに家を出たため部屋には誰もいなかった

2.部屋に来訪者(犯人?)があり、話の流れからエキサイトし、争い。宅配や二度の電話をスルーした

こんなところでしょうか。

争っていれば宅配業者の方が訪ねた際に何かしら物音や話し声を聞くでしょうし、仮に言い争いをしていたとしても2度の電話を無視し続けるというのも想像しづらいです。

1.であれば、外出してから病院に行く時間までの「空白の2時間」が謎です。

2.であればやはりこのときの相手が一度帰り、殺意と共に取って返してきたのでしょうか。

 

午前11時10分

奈美子さんが航平君を伴い近所の病院(小児科)に来院。

ここでは診察券を提出したのが11時10分と言われているが、一度提出して再度外出したのか、どの時間のことかは不明。

(フジの特番の再現映像では奈美子さんは自転車に航平君を乗せて病院に向かい、11時10分の来院時に受付に診察券を出している)

ここでいう奈美子さんが来院した小児科は又穂町にある「きとう小児科」 ※アパートからは自転車では5分程(現在は移転)

 → 一旦来院した上で診察券だけを提出しておき、頃合いをみてまた来院したのでしょうか?

それとも単純に何らかの理由で来院するのが遅くなり、11時10分に提出したのでしょうか。

(診察券を出した時間なのか診察を受けた時間なのかの情報がないため判断不可)

 

仮に診察券を出した時間が11時10分とするとママ友にはこの後出かけるという話をしておきながら、2時間以上後に診察券を出しているのは不可解です。

 

病院での待ち時間があったことを考えると(2時間も待たされるなんてことがあるのかどうか分かりませんが)子連れで時間を潰すとなるとやはり「公園」でしょうか。

小児科とアパートを基点にみると「庄内公園」「稲生公園」「江向公園」「又穂公園」あたりが徒歩圏内にあります。

前2つの公園はアパート寄りですね。これらの公園のどこかに居たかもしれません・・・・が

冷静に考えると、熱があって病院に連れて行かないといけない程の幼子を公園で数時間も遊ばせたりするでしょうか?

【追記】熱ではなく下半身のかゆみとのこと

 

この空白の2時間は犯人と接触している可能性もあるとして非常に重要なのですが、目撃者も居ない以上なんとも結論づけられないのが歯がゆいですね。ここでの目撃情報があれば事件が動き出すような気もするのですが。

 

午前11時40分

奈美子さんと航平君がアパートに帰宅。

この時、同じアパートの住人(男性)が奈美子さんを見かけたが、奈美子さんは挨拶もなく部屋に向かったという。

※このアパートの住人(男性)が正午まで車の手入れをしていたという男性です

13時ごろと思われる時間帯、アパートの住人が、高羽さん宅で「ドスン」という音がするのを聞き、その直後、階段を駆け下りる足音を聞いた。(柳川氏レポート)

 → 挨拶もなく部屋に向かったとわざわざ証言しているということは普段は顔を合わせると挨拶を交わしていたのでしょう。それだけ疲れ切っていた。余裕が無かったということでしょうか。

 

13時ごろ「ドスン」という音が聞こえ、直後に階段を駆け下りる足音とありますが、ここはWikipediaと違うようです。Wikipediaでは「正午から午後1時までの間」となっています。気になるのは「直後、階段を駆け下りる足音」の部分です。

犯人は格闘の末、自らも怪我を負っており、アパート内の洗面所で傷を洗っている形跡や玄関に佇み外の様子を伺っている形跡が確認されています。

 

階段を駆け下りる直前のドスン音は謎ですね。

 

いずにしてもこのあたりの証言は正に犯行時刻を指しており、犯行後に犯人がアパートから出ていった時間と思われます。

個人的見解ではこの時間「正午」あたりとみております。ほぼ確定かと思われます。

 

午後12時15分

稲生公園付近で目撃者Aさんが不審な女性を目撃(※詳細は逃走ルートの説明にて)

 

午後12時20分

聖徳寺前で目撃者Bさんが不審な女性を目撃(※詳細は逃走ルートの説明にて)

 →この2件の目撃情報こそが犯行時刻が「正午」と証明しています。目撃者Aさん、目撃者Bさんは左手を怪我した女を目撃しており、特徴からしてほぼ間違いなく同一人物を目撃しています。また目撃時間ですが、実際に私が稲生公園から聖徳寺まで歩いてみた所およそ5分。目撃者Aと目撃者Bの目撃時間の差が5分なので証言と一致しています。

 

公園内で犯人が怪我をした手を洗っていた形跡、公園内をしばらくうろついた形跡があるとのことで公園でのロスを5~10分と考えると遅くとも「12時10分頃」には稲生公園内に到着していた計算になる。

 

さらにアパートから稲生公園まで歩いてみたところ私の足で「6分」。足早に歩いたとしてもせいぜい「5分」といったところでしょう。逆算すると、犯人は遅くとも「12時05分」あたりにはアパートを逃走し始めたことになります。

 

前述の「車の手入れをしていたアパート住人」は正午には作業を終えていますので、目撃されること無く逃走していてもおかしくありません(入れ替わり、または居なくなるのを待っていた?)

 

となると犯行はかなり短時間で行われたことが推測できます。11時40分に奈美子さんが帰宅し、犯人が12時05分にアパートを出ているとするとせいぜい25分で犯行を終えていることになります。

 

実際には発見時の部屋の様子から奈美子さんは帰宅後、テレビを付け、掃除機をかけている途中だったとのことでしたので、イメージ的には11時40分帰宅→11時50分犯人が部屋に。といったところでしょうか。

 

午後2時過ぎ

アパート大家の奥さんが自宅で採れた柿をアパート住人におすそ分けするべく、アパートの各部屋を回り始めた。

午後2時30分頃

アパート大家の奥さんが遺体を発見する(鍵はかかっていなかったのでドアを開け覗いたとのこと)

 

犯行現場について

今一度、殺害状況について整理してみます(※主にレポートから抽出)

事件発生場所: 愛知県名古屋市西区稲生町5-6 加藤コーポ201号室(被害者自宅アパート)

被害者: 高羽奈美子さん(当時32歳)

被害者家族: 夫で不動産会社勤務の高羽悟さん(当時43歳)と、息子の航平君(当時2歳1ヶ月)

殺害方法: 刺殺(凶器の刃物は見つかっていない)

傷の状況: 首の前部に複数の刺し傷、手に防御創。左前額部(左側のおでこ)に固いもので殴られたようなコブ

死因: 右頸動脈切断による失血死

 

14時30分頃、柿入りの袋を手にした大家は、201号室(高羽さん宅)のインターホンを押した。

(大家は最初に3階の2軒を回り、次に2階の高羽さん宅に向かった)

インターホンに応答がなく、大家が柿入りの袋をドアノブに掛けようとしたところ鍵がかかっておらずドアが開き、中を覗いてみると廊下に倒れた人の足が見えた。

大家が玄関から覗くと廊下にズボンだけ見えていた状態。うつ伏せになっており、口から血を大量に出していたとのこと。

 

 

玄関には滴下血痕---上から雫となって落ちた血痕---を含む血痕と、血の付いた靴跡があった(毎日新聞より)

写真は散々公開されていますが、プライバシー保護のため目線を入れています

--靴跡についてはコチラ

この靴跡ですが犯人の血痕です。血溜まりの状態と靴跡の向きから、犯行後に内側のドアスコープから外の様子を警戒して見ていた(しばらく)ということがわかったそうです。

 

・発見時、奈美子さんはトレーナーにジーパン姿、着衣には乱れなし

・頭部付近にもかなりの流血(首を切られた状況)

・玄関先の廊下には掃除機が出しっぱなし。リビングのテレビはつけっぱなし

・物取りなど、部屋を物色された形跡なし

・怪我した犯人が洗面所で血を洗い流したような形跡。洗面所の洗面台前面の扉に一筋の血。

・キッチンでは息子の航平君(2歳1か月)が幼児用の椅子に座り、テーブルの上のおもちゃで遊んでいた

・キッチンのテーブルにはヤクルトのミルミルEが飲みかけのまま置いてあった。

・「付属のストローは使われず、注ぎ口を開けて飲んだ形跡がある」(柳川氏レポート)

 

【追記】

「テレビの前のこたつにはお湯を吸ってふやけたカップ麺が置かれていました。テーブルの上には航平が朝食時に残した味噌汁が置かれていました。うちは玄関にきた人物を玄関横のサッシュから覗き見ることができるのですが、当日は宅配便の不在票が入っていたので、インターホンが鳴り、反射的に奈美子が扉を開けたのかもしれない。玄関先には我が家では飲まない乳酸菌飲料の液体が吐き出されたかのようにこぼれていた。その飲みかけのパックが航平が座っていたテーブルの上に置かれていた。おそらく犯人が持ち込んだものでしょう」

 

左前額部に固いもので殴られたようなコブがあるということですが、刃物の柄の部分で殴りつけたものと思われます。また部屋ではなく廊下~洗面所、台所のあたりに血痕が残っていることから玄関先からすぐに犯行が始まっているように見えます(一度部屋に招き入れてから襲ったものではない?)

奈美子さんは用心深く、誰かが訪ねてきたときもベランダ側から玄関を覗いて確認してから応対するようにしていたとのことで、顔見知り、または訪問販売等のドアを開けることを躊躇しない相手だったと思われる。

 

 

ここからは特に推測になってしまうのですが

 

① 顔見知りである女が訪問してきたためドアを開けたところ、いきなり刃物の柄で殴りつけられた。

② 奈美子さんは逃げるように背を向けて廊下を奥に進むが、犯人に後ろから捕まり押さえつけられる。

③ 洗面所前あたりで抵抗するも後ろから首に腕を回して、そのまま首を何度か刺される。

④ その際に犯人は押さえつけていた自らの左手を刺してしまう。または持ち手が滑り、刃の付け根で怪我。瀕死の奈美子さんは息子の元へ這っていこうとするものの途中で絶命してしまう。

といった状況ではないかと思う。

 

奈美子さんは用心深く鍵を常にかけるようにしていたとのことですが、100回に5回ほど鍵をかけ忘れることがあったと夫の悟さんが証言しています。帰宅後すぐの犯行ですからその間鍵をかけ忘れていたことも十分に考えられます。不在伝票が見つかっていたことから再配達と間違えてドアを開けてしまった可能性もあります。

 

窃盗目的で入って襲った際に怪我をしたため窃盗は諦めたというのも考えられなくはないですが、通常は留守を狙いますし、玄関先からいきなり殴りつけていることが濃厚なため、確かな殺意の元の犯行かと思います。

 

ミルミルについて

・ミルミルEは、ヤクルト的には大人向けの味付けとのこと。

・ミルミルEは「少量、玄関で吐き出されていた」(柳川氏レポート)

・ミルミルEは「玄関先に吐き出されたように一部がこぼれていました」(『NHK未解決事件追跡プロジェクト』)

・ミルミルEは夫の証言や再現映像などによると、玄関の上り口の床に少量こぼれていた。

・こぼれていたミルミルEは、テーブルの上にあったパックのそれと同一成分だった。

・ミルミルEはその製造番号から、愛知県内の工場で製造され、被害者宅から東南に直線距離で30km前後離れた西三河地区でしか販売されていなかったものだとわかった。

・夫はこの飲料(ミルミルE)が自宅で飲まれていたという覚えがなく、犯人が持ち込んだ遺留物と考えられている。

 

→ この事件はこのミルミルによって混乱させられているような印象を受けます。そういう意味では犯人の思惑通りなのかもしれませんが・・・。西三河でしか販売されていないものを敢えて用意して現場に置いていったと仮定するのであれば、逆に犯人は近場に住んでいると言っているようなものですよね。

 

しかしながら、普段見慣れていないから被害者のものではないと決めつけるのは安易な気がします。

こぼれていたミルミルから犯人のDNAが見つかったとかミルミルのパックから犯人の指紋がみつかったとかそういった情報すらも公開されていない以上、完全な予想でしかないのでここではこの「ミルミル」にこだわらないほうがいいですね。

 

つづく