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 Googleで「サンガリアコーヒー」を検索すると「まずい」と出て来る。これは、世間一般でのサンガリアコーヒーのイメージはそうしたものが多いということが反映された結果なのだろう。だが、その評価は半分当たっていて半分間違っている。そこで今回は、サンガリアコーヒーの中からおすすめの製品を紹介し、なおかつサンガリアコーヒーの魅力について語りたい。
 
 まずは写真右側の「ブルーマウンテン・モカ・キリマンジャロ」である。なんとも欲張りな名前とC社のエメラルドなんとかを彷彿させるデサインのため怪しさが漂うが、この製品は90年代末期にそれまで販売されていた「ブルーマウンテンブレンド」の発展版として誕生した。基本的なレシピはその当時から変わっていないものと思われる。味はというと、牛乳のまろやかさとやや甘い口当たりがファーストインプレッションとして入ってくるが、それに負けじと主張するコーヒー感とのバランスが絶妙である。コーヒーはキリマンジャロの特徴が強く出ているとは思うが、他社に負けない、いやそれどころかこれに匹敵するレベルのものはそうはないと思ってしまうぐらいクオリティの高いものとなっている。残念なのはやや入手しにくいところか。イオン大型店舗にある、イオンディライト自販機に入っているぐらいで他では見かけない。
 
 続いては左の煎りたて珈琲ブレンド。これは2012年に発売された製品で、関西のサンガリア自販機と通販でしか買うことが出来なかった。スチール缶ではなくアルミ缶で一見安っぽい印象を受けるが、味の面ではそんな想像を覆すものである。明けた瞬間から漂う香ばしいコーヒーの香り。もちろん無香料である。そして香りに負けない濃厚なコーヒー感!初めて飲んだ時、その余韻で我を忘れてしまったほどであった。そんな素晴らしいこの製品もやはり販路が狭い、そしてそれに加えて現在は公式サイトから消えてしまっている。同シリーズの微糖とカフェオレはあるのにもかかわらず…。まさかこのまま終売なのだろうか?
 
 サンガリアは業界でも唯一と言っていい、焙煎→抽出→充填までを同じ工場の中で一貫して行っているメーカーである。サッポロポッカも名古屋に自社で焙煎工場を持つが、そちらは充填工場とは別となっているので時間的なロスが生じてしまっている。サンガリアはこの製法を「煎りたて・挽きたて・こしたて」として大々的にアピールしているが、煎りたて珈琲はこの製法のメリットを最も体現している製品であると思う。それだけにこのままなくしてしまうのは大変に惜しいと思うのだ。
 
 サンガリアはかつては関西を中心に主に自販機による販路を展開していたが、90年代終わり頃から100円ショップやディスカウントストアへの販路を拡大する過程でローコストの製品を多く投入してきた。その結果、どうしてもコストを安くするために「安かろう悪かろう」といった感じの、安いけれど味的には低グレードな製品もたくさん出している。あえて名前をあげないが、某製品は甘味料のえげつない味に一口飲んで捨ててしまったほどであった。なかには安くてうまい製品もあるが、安売り製品は味の面で非常に残念な感想を抱くものが少なくない。そして、そういう製品が一番人の目につくところにあるので冒頭の評価が定着してしまっているのである。ちなみに昨年出た某シリーズは1缶「29円」で売られていたりするが、ブラック以外は29円払ってもお断りというぐらいの代物である…。
 
 高クオリティな製品は早い段階から出しており、ブルーマウンテン、モカ、キリマンジャロ使用を謳った製品は1988年には登場している。この高クオリティ製品がシリーズ化されたのは2000年代初頭に販売された「GOD」である。GODシリーズは大変美味しかったらしいが、2010年頃に販売を終了。時を同じくして、この頃から安売り製品が更に増加…。
 
 駄作も大量に出しているが、本気を出せば他社がかなわない実力を持っているサンガリア。このサンガリアをこれからも応援していくと同時に、90年代のような個性豊かで高クオリティな製品を出していただきたいという願いを込めて、今回の記事を締めさせていただこう。サンガリアについては今後も書いていく。