今回の記事は、脳科学者の池谷裕二先生の「自分では気づかない、ココロの盲点 BLUE BACKS」を参考にさせていただきました。タメになる内容なので一度読んでみてください。
ツヨシ「仙人さんは、煩悩が苦の原因になると言いますが、具体的に「煩悩」って、何ですか?」
仙人「煩悩はだなぁ、ツヨシの頭の中の状態のことさ。」
※煩悩とは…妄念や欲望など、身心を乱し悩ませ智慧を妨げる心の働きを言う。仏教では、「苦の原因」は自らの煩悩にある、ととらえる。
…ウイキペディアより
ツヨシ「それって、ボクの頭は「煩悩」しか考えてないということですか?」
仙人「そう言うことになるなぁ。でも、それは(私が言った、のじゃなくて)お釈迦さまが言ったことだ。煩悩は妄想なんだが、みんな妄想のせいで苦しんでいるだろ。(心が苦しみの原因)」
ツヨシ「お釈迦さまのせいにしないでくださいよ。」
仙人「ホントさ。お釈迦さまは、「人が脳で信じていることは、ほとんど嘘だ!」と言ったのさ。脳の働きは、自分に都合のよいように考える癖がある。だから脳は嘘をつく。」
※人間の脳は、見て聞いた出来事を、削除、歪曲、一般化する。削除、歪曲、一般化が、その人の考え方の癖を作っている。
…神経原語プログラミングNLPより
削除・歪曲・一般化の例
たとえば、、この「踏切」は、いつだって、みんなが待たされる。だから「開かずの踏切」と呼ばれている。(正しくは、いつもではない、みんなではない、踏切が開かないことはない。)
たとえば、、私は雨女だ。だから、いつも外出する時に雨が降る。(正しくは、いつもではない、外出しない時にも雨が降ることがある。天候の確率は、雨よりも晴の日の方が多い。)
ツヨシ「ボクが信じていることはすべて嘘ってことですかぁ?」
仙人「ああ、脳で考えていることは、すべて嘘(空)だから信じてはいけない。」
※五蘊(ごうん)…貪欲といかりと、心の沈むこと、心のソワソワすること、疑いとを言う。
引用:ブッダのことば、中村元著より
仙人「ツヨシのように、「自分が正しい」と信じている人の脳には、悪魔が棲みついている!」
ツヨシ「脅かさないでくださいよぉ。でも、「脳が嘘をついている」と言われても、なんかピンときません。もっと、具体的に教えてもらえませんか?」
仙人「わかった。じゃあ、これを見なさい。線上の黒い「点」が中心にあるのが見えるかい?」
※ジャッドの錯視(点の位置が中心からズレて見える)
ツヨシ「何を言ってるのですか?点は左にズレていますよ!」
仙人「それは脳(目)の錯覚だ。定規で測ると分かるが、点は線の中心にある。。そしたら、次の画像は、どう見える?」
引用:錯視の不思議について
ツヨシ「回っています。」
仙人「これも錯覚だ。動画じゃないから動くはずがない。実際は、右も左も静止している画像なんだ。目はきちんと見えているのだが、脳は「動いている」と思い込むから、動いて見える。それだけじゃない、一度「嘘」を信じてしまうと、意思を働かせても止めることはできない。(止めてもすぐに動く)」
ツヨシ「本当です。動きを止められないです。これって怖いですね。脳が信じていると、自分ではどうしようもできない、ってことじゃないですか。」
仙人「フフッ、じゃあ、次の質問に答えてみるといい。」
問題)突然、雨が降り出した。職場の傘立てを見たら、なんと、私のビニール傘がありません。
この時、どちらの推測をする人が多いでしょう?
① 誰かが持っていったかな。
② どこかに置き忘れたかな。
ツヨシ「簡単です!答えは、①誰かが持っていった、でしょう。」
仙人「ツヨシのように思う人が多いのだが、どうしてだと思う?人は、責任は自分ではなく他人にあると考えた方が、ストレスが少なく済むからだ。(無意識に脳が選択する)」
※「自分に甘く、他人に厳しい」のは脳の癖
1,人がやらないのは怠慢だから。しかし、自分がやらないのは忙しいから。
2,人が出世したのは運がよかったからだ。しかし、自分が出世したのは頑張ったからだ。
3,人が不幸なのは努力しないからだ。しかし、自分が不幸なのは政府がアホだから。
…自己奉仕バイアス
ツヨシ「他人に厳しいのはボクだけじゃないですよ。みんな自分には甘いと思いますよ。」
仙人「フフッ。じゃあ、電車でお年寄りに席を譲らない人がいたら、どう思うかい?」
ツヨシ「気が利かない奴だと思います。」
仙人「そう思うのが普通だ。ところが、その席を譲らない人に、今ツヨシに出した質問をしても、同じように「気が利かない奴だと思います。」と答えるだろう。」
ツヨシ「えっ、どうしてですか?」
仙人「ああ、人は、自分に起きていることは見えないものだ、ところが、他人のことは良く見える。「無自覚」ということに無自覚なのさ。」
※バイアスの盲点…自分は偏見が少ないと思う偏見。他人の欠点にはよく気づく傾向にある。
ツヨシ「それって、よく分かります。みんな自分のことは棚に上げて、他人の悪口ばかり言いますからね。」
仙人「ツヨシの今言ってるのが、そのことだ!(無自覚に無自覚)」
ツヨシ「あっ、そうでした。つい言ってしまいました。」
仙人「そういう風に、思考は癖になっているものだ。意識していないと、(意思とは別に)思ってもいないことを、口が勝手に喋るから気をつけないとなぁ。」
ツヨシ「そうなんですね。口が罪を作ることは分かりましたが、目も罪を作っているのですか?」
仙人「いい質問だ。「目は口ほどに物を言う」と言うだろ。男は美人顔でスタイルの良い女性を見ると嬉しくなるもんだ。でも、その女性の心や性格など内面的なことなんて知らない。それでも、男は美人には優しくする傾向にある。」(先入観と偏見)
ツヨシ「恥ずかしいです。分かっていても、そこまで言われたら。」
仙人「フフッ、それじゃあ、問題だ。「キライな上司があるとしよう。その上司と仲のいい同僚に対して、多くの人はどう思うだろう?」
① 好きになれない
② 好きになれないが、大人の付き合いをする
③ どちらでもない
ツヨシ「答えは、①好きになれない、でしょ。」
仙人「それが偏見だ。上司が嫌いでも、その友達のことについては、性格も知らなければ、ツヨシと相性が合うか合わないかも分からない。それに、、この質問に答える「多くの人」が、どう思うかなんて、調べたこともないので分かるはずがない。「好きになれない」と答えたのは、ツヨシの偏見(妄想)からなんだ。」
ツヨシ「そうかもしれません。ボクは、いつも偏見(先入観)で人を見ていたから、嫌いな人の友達だというだけで、その人が何を話しても悪いようにばかり取っていました。それがダメだったんでしょうね。」
仙人「脳の仕組みが、少し分かってきたようだな。それじゃあ、もう一つ問題だ。「近所に手癖が悪く、よく万引きをする人が住んでいる。最近、「その人の家に空き巣が入った」と、ニュースになった。さて、ツヨシならどんな感情を持つだろう?」
① バチが当たったんだ。
② 気の毒に。
ツヨシ「①バチが当たった、と思うのが普通でしょう。いつも悪いこと(万引き)をしているんですから。」
仙人「人は「因果応報」のストーリーが好きだ。若い女の子が痴漢にあっても、「短いスカートを履いてるからさ。」と被害者を非難する。この行き過ぎた価値観が、時には「差別」を生んでいる。」
仙人「こんな風に、脳で考えていることは正しいと思っていても、間違っていることが多いんだ。でも、そのことに気づいても、「思考」は習慣だから変えることが難しいんだよ。」
ツヨシ「そんなことないでしょ!間違いに気づいたら、変えればいいんですから。」
仙人「じゃあ、この問題に答えてみるといい。」
質問)
火災報知機が鳴っています。
どちらの対応をする人が多いでしょう。
① 誤報かな?様子を見よう
② 火事だ!逃げよう!
ツヨシ「うぅ~ん。それは、「①様子を見よう」じゃないですかぁ?」
※正常性バイアス…脳は警告を楽観的に解釈し、起こりうる災害を過小評価しがちになる。
仙人「確かに、逃げずにじっとしている方が安全の場合もある。しかし、その「行動癖」が、成功のチャンスを逃してしまう。「人生に流される人」は、常に様子を見ていて動けないからなんだ。」
ツヨシ「様子ばかり見ていては、ダメってことですね。でも、それって脳が勝手にやっていることですから、難しいですよね。」
仙人「難しくなんかないさ。脳の中は実体の無い妄想なんだから。」
ツヨシ「ああ、そうでした。脳は空っぽの「空」でしたね。」
仙人「それは、ツヨシの頭の中だけだ。はっはっは。」
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【今日の学び】
★五蘊皆空…目の前の現象は空(幻)であるが、「心」も実体のない空(妄想)である。
☆妄想⇒感情を生む⇒煩悩(妄想を事実と錯覚する)⇒マイナス感情⇒消極的行動⇒悪い結果 …縁起の法
★宇宙は心が「空っぽ」になることを嫌う。そのため、妄想が自然発生している。
☆瞑想して「五蘊皆空(ごうんかいくう)」と言うと、妄想(煩悩)は消えて冷静になる。
★仏に手を合わせると、心の中は「智恵と勇気」で満たされる!