2020/1/23 朝鮮日報
文喜相議長の息子は結局不出馬…選挙法の功臣が「用無し」?
文喜相(ムン・ヒサン)国会議長の息子、ソクキュン氏が今年4月15日に行われる総選挙への不出馬を23日宣言した。ソクキュン氏は11日、文議長の地域区(小選挙区)である京畿・議政府甲から出馬すると宣言していた。しかし「選挙区の世襲」をめぐって論争が拡大し、与党「共に民主党」の指導部まで乗り出して出馬を断念するよう説得していた。チョ・グク前法務部長官の騒動を機に高まった公正に対する社会的期待値を超えられないというわけだ。
ソクキュン氏は同日、報道資料を発表し「先党後私(党を優先し自分のことは二の次)の気持ちで未練なく私の志を諦めようと思う」として「残念ではあるが、これもまた私が耐えなければならない宿命だと考える」と述べた。ソクキュン氏はさらに「応援してくださった全ての方々、特に議政府の市民と党員の皆さまへの感謝、恐縮の念に堪えない」として「これからが新たな始まりという気持ちで精進したい」とつづった。
ソクキュン氏は、共に民主党の議政府甲地域委員会の常任副委員長を務めている。同地域は父親の文喜相議長の選挙区であり、文議長はこの選挙区で6選している。このためソクキュン氏が父の地域の組織を受け継ぎ、選挙区での党内候補者選びを容易に勝ち抜いて国会議員のバッジを手にするのではないかとして、世襲をめぐる論争が起きていた。
ソクキュン氏は当初「私は今年40歳だ。二世としての特権を使うのは断固として拒否したい」として正面突破する意志をあらわにしていた。しかし、共に民主党の内部では「ソクキュン氏を党公認候補にすれば総選挙での形勢が全体的に難しくなりかねない」との懸念が高まった。共に民主党は文議長の選挙区を戦略公薦の対象地に指定した上、最高委員が「政治権力の世襲は国民が同意しない」と公の場で批判した。最終的に共に民主党の指導部メンバーが最近、ソクキュン氏に対し「賢明な決定を下してほしい」と出馬を断念するよう圧力をかけた。
ソクキュン氏は結局「有力政治家の息子が父の選挙区を受け継ぐ」という冷ややかな世論の壁を突破できなかった。共に民主党の指導部も総選挙で「第2のチョ・グク騒動」を懸念し、ソクキュン氏に出馬を断念させた、と評する声が出ている。文議長も「親の特権を利用している」と論議を呼ぶ状況で最後まで息子の出馬に固執するのは困難だったとみられる。
ソクキュン氏の出馬がなくなり、政界では文議長が最終的に「兔死狗烹(役に立つときは重宝されるが役目が終わると捨てられる)」の仕打ちを受けたとの声も聞かれた。文議長は昨年末、野党「自由韓国党」の激しい反対の中で選挙法改正案と高位公職者犯罪捜査処の設置法案の処理を強行し、与党では「宿願だった法案の処理の一等功臣」と言われていた。