九州への旅・足跡を探して~① | アイビーの独り言

アイビーの独り言

加藤りつこのブログ

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「人前で歌うなんてできないよ!」
広島で初めて対面した2年前のマサくんの言葉を、懐かしく思い出す。


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左・貴光(神戸大1)・崔泰榮さん(ソウル大1)



「親愛なる母上様」
21歳で亡くなった息子・貴光が、亡くなる1年9ヶ月前(大学入学時)に私に書いてくれた手紙。
その手紙と衝撃的な出会いをしたマサくんが、思わず曲をつけ歌にした。
それを彼がブログで紹介してくれたお陰で、私はマサくんと感動的な出会いができた。
マサくんが歌った『親愛なる母上様』をブログで聴いた私は、その語るような深い歌声に感動した。
広島で会うことになった時、私はこの歌を歌うマサくんのミニコンサートを開くよう、友人や知人に働きかけて広島や神戸で数ヵ所、会場の準備をしていたのだ。
ところが、出会ってみると人前で歌うコンサートなんてできないと言う。

逃げるマサくんにお願いして、無事予定はクリアした。

しかし、彼は想定外の道を歩まされることに悩み、心は葛藤していた。

2008年2月
悩みを抱えたまま、彼は九州へ旅に出た。


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グランドピアノ演奏のマサくん 伊藤裕美氏



あれからちょうど二年後の今年2月、私はマサくんの心の葛藤を辿る旅に同行することになった。
甲状腺癌の手術から、まだ7ヶ月しか経っていなかった私は、車での長旅をすることに耐えられるかどうか心配だったが、思い切って決行した。

2月3日、この日はマサくんのお誕生日。
一応旅のコースだけは決めてはいるものの、その他は何も決めている様子もなく、ラフな旅のスタートだった。
出発前にマサくんは私の体調を心配して、荷台いっぱいに積んでいた機材を降ろし、ベッドを作ってくれた。
長時間助手席に座っているのも辛いから、いつでも横になれるようにと、気遣ってくれていたのだ。
軽自動車・ダイハツ・アトレーくんでの約2000キロの旅。
私には想像もできない、初めての挑戦だった。

妹チャコに、荷台のベッドの話をしたら、『まぁ~、まるで介護タクシーみたいね』と言われてしまい、大爆笑となった。


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  さあ!出発だ!運転席のマサくん



そんな思いやりで温もりいっぱいの『アトレーくん』の助手席が、私の快適な居間となった。
2月1日の深夜姫路から広島へ来たマサくんは、一日だけ休んで、広島から私を連れて九州縦断の8泊9日の旅に出たのだ。



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   山陽自動車道を走るアトレーくん