犬神家が舞台化されるとあっては行かないわけにはまいりません。
どうやって世界観を表現なさるのだろう。
湖面からニョッキリ出る足は、菊人形の生首は、と数々の名シーン(死亡シーン)を有する市川版金田一シリーズを好きなわたしはガッカリするのではないかしら。
不安と期待が入り混じりながら(とか書いてますが実際は平常心でした)当日券を買って、花道横の席に座り、いよいよ舞台が始まります。
しかしオープニング曲がかかってもわたしの後ろの席のかたがお喋りをやめません。家でDVD観てるんじゃないんだからくらいの音量で普通に喋っています。
普段のわたしであれば振り返って「あのぉ、すいません。静かにしていただけないでしょうか」くらいでお声がけするのに対し今回は
クルッ
(╬ಠ益ಠ) 静かにしてください。
と般若みたいな顔で言い切りました。
わたしの12000円を無下にはしないわよ。
この対応に、ああ、ものすごく集中して観る気なんだな、と我ながら驚いたしだいです。
さて、そんなケチのついた幕開けでしたがぶっちぎりで裏切られるほどに見事な舞台でした。セットの転換の最中までも美しく、気持ちが途切れることなく次のシーンへと移る気持ち良さ。
ああ観に行ってよかった。世界中にありがとうと言いたいほどの素晴らしい気分です。
ちょうど明日、倉敷では1000人の金田一耕助というイベントが開催されます。
金田一耕助の生みの親である、作家の横溝正史さんが60年前に倉敷へ疎開されていたため、岡山が舞台になっている作品が多いのです。
その横溝作品にゆかりのあるところを金田一の登場人物に扮して練り歩く、というイベント。早い話が金田一コスプレイベントです。
なんとわたしも3年前に参加させていただきました。
わたしが参加していた年はテレ朝の取材が入ってましたし、知名度が上がってきて年々参加者が多くなっていきましたが今年は開催が危ぶまれていたのです。
というのも、1000人の金田一、略して千金の舞台は倉敷市真備町。覚えていらっしゃいますよね。夏の豪雨で甚大な被害の出たところです。
一度しか訪れていないとはいえ自分の知っている土地があのようなことになるなんて。千金でお会いした皆さまはご無事だろうかと心配しました。
そこで千金では倉敷の水害とは別に金田一募金という独自の募金を設けて、貴重な資料の保護や資料館などの整備にあてられました。
募金の振込人のところには金田一作品にちなんだ名前がズラリと並び、さながら金田一大喜利のようだったとか。
こちらは千金の参加者が制作された犬神家ブックカバー。愛用しております。
湖面の足も、菊人形も、そうきたか!その発想はなかった!という演出で大変楽しませていただきました。
東京に住んでてよかった。
犬神家の一族は新橋演舞場で日曜まで公演中です。
三等席なんかはお安く観られますよ。
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/2018_inugamike_shochikuza/
こういうの見ると、ついつい生首を探してしまうのは悪いくせだぞ♡
で決まりですよね。