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チャットGPTで判決文作成

 『ブラジル北部の連邦裁判所判事が15日までに、生成AI(人工知能)を使って判決文を作成したとして、司法当局から調査を受けた。

 現地からの報道によると、問題の判事は北部アクレ州のジェフェルソン・ロドリゲス氏。裁判所を管轄する「国家司法評議会(CNJ)」は同氏を召喚し、経緯に関する調査を開始した。

 ロドリゲス氏は生成AI「チャットGPT」を用い、「信頼できる顧問」の助けも得て、判決文を書いたという。 ロドリゲス氏は「単なるミス」と釈明する一方、「労働負荷がかかっていた」などと釈明している。

 ブラジルでは、AIを使って判決文を書いてはならないとの規定はないが、CNJは「今回が初のケース」と事態を重視。ロドリゲス氏から15日間、事情を聴く方針という。

 CNJによれば、ブラジルでは最近、職務で過度にAIを利用する判事が増えているという。』

  南米ブラジルで裁判所の裁判官が、なんと生成AI(人工知能)を使って判決文を作成したというニュース。

 ご存じの通り、判決文は裁判の最終結果である。  その裁判所の判決によって、無罪になったり有罪になったりもするし、実刑の場合は何年刑務所暮らしなのかなどが決まる、被告人の人生を大きく左右するものだ。

 ロドリゲス氏は生成AI「チャットGPT」を用い、「信頼できる顧問」の助けも得て、判決文を書いたという。  

 国家司法審議会は、司法当局のAI利用を認めているらしいが、連邦地方裁判所は今回の事態を受け、「未承認の生成AI判例の検索に使うべきではない」との通達を出したようだ。

 米ニューヨーク州の連邦裁判所で審理された民事訴訟でも、弁護士がチャットGPTを使って作成した準備書面に実在しない判例が多数含まれていたと米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)などが報じていた。

 チャットGPTは非常に便利ではあるが、膨大なデータの中から質問に関するものをピックアップしてくるもの。  

 チャットGPTは「Common Crawl Corpus」と「BookCorpus」からデータを とっていると言われている。

 「Common Crawl Corpus」とは、2008年以降にWebから収集されたデータを扱う、巨大なデータセット。

 「BookCorpus」は、多くの書籍を扱うテキストデータセット。ロマンスや冒険、歴史といった異なる16種類のジャンルを扱っており、未発表の著者によって書かれた無料の小説を約11,038本学習させることができると言われている。

  元のデータというのは、玉石混交だ。すべてが正しいわけではなく、偽のデータも混じっている。  
 アメリカのNYのケースは、誰かが作った架空のものか、他国の法律を拾ってきたのか色々理由は考えられそうだけど、全部信じてはいけないということだろう。NYのケースは弁護士の方だから、裁判官の判決よりはいいけどね。

   ただ、裁判官が判決文を書くのにチャットGPTを使いたい気持ちもわかる。
  多くの裁判官は抱えている案件が多いというもの。

 犯罪が次々に起こると、裁判官も自分の能力のキャパオーバーになってしまうこともあるかもしれない。 特に判決を下すには、根拠となる法律や条文が必要だから、その確認などに時間を取られるのだろう。

 ちなみに日本の場合は、判決文を作成する場合は、判決の結論である主文や、その根拠となる事実や法律条文を裁判官が書く。それから、裁判所書記官は、この文書を確認し、必要に応じて修正を加えるようになっている。

 まあ、一番大切なのはどの法律や条文を元にしたかと、その問題となった犯罪と過去の判例を比較して罪状が妥当かということだろう。最高裁の判決は、法典化されなくても、今後の判決に一定の効力を持つ。  

 ブラジルでも裁判官は最高裁の判例に従うようになっているようだ。

  今回はこのような事件が起きたけど、今後は大丈夫かもしれない。  
 各国の正式な法律や判例だけを載せたものを作成し、それに基づいて当該事件を当てはめていけば、裁判官や裁判所書記官の仕事は効率化されるだろう。

 特に裁判所書記官は法律や判例の調査も大きな仕事だと思うので、過去の判例を全部データ化できれば、かなり時間を節約できるようになると思うんだけど。

 そのうち簡易裁判所で行われているような案件はAIがやるようになる時代が来るかもね。

 人口が少なくなっているのに。犯罪が多くなれば、裁判する案件も増えるから、裁判官も手が回らなくなる。そうかと言って、急に裁判官を増やすわけにもいかない。

 簡易裁判所の案件は民事訴訟や支払督促、刑事事件でも窃盗などの軽微な犯罪などであるが、過去の判決と照らし合わせて自動的に処理することになるかもしれないな。  

 それに不服がある者だけが改めて裁判官と話し合うような事件が出てきそう。  
 一般人も裁判所出廷などで時間を拘束されるよりも、軽微な罰金などのものはさっさと判決してしまった方が助かるかもしれないのだ。

 いずれにしても、便利さを覚えてしまった人間はチャットGPTを完全に排除するとかはできないだろうから、今後どのように使用するかの基準作成が大切になってきそうだね。