※タイトルにある漫画の感想です。ネタバレ注意!


私の親は過干渉だ。

(具体的に何がどう過干渉なのかは、普段のブログで散々書いているので、ここでは省略する)

先日、過干渉型の毒親をテーマにした漫画を読んだ。しろやぎ秋吾の「すべては子どものためだと思ってた」である。以下印象に残る部分を太字にしている。


母親のくるみは、身体が弱く気の小さい長男こうたを常に気にかけている。「この子のようなタイプは、失敗したら自信を無くしてしまう。成功体験を積み重ね、自信をつけさせなければ」「子どもが生きやすくなるために何かできることがあるなら、させてあげた方がいい。大人になった時、どうしてあの時させてくれなかったんだって思わせたら可哀想じゃないか」「育ちで子どもの人生は決まる」「未熟児のまま産んでしまった自分が悪い」。こうした理由から習い事をやらせたり、中学受験をさせたりと、「あなたの人生は、お母さんに任せておけば大丈夫だからね」と思って張り切っている。

物語の冒頭では、くるみがこうたを出産するシーンが描かれている。この時くるみはこうたに対してこう思っている。

特別じゃなくていい、立派じゃなくてもいい。ただこの世に存在してくれるだけでいい。ただこの子が健康で、誰かと一緒に笑って、幸せに生きてくれたら、それだけでいい

ところがそうはいかないようだ。くるみはある日、習い事で知り合ったママから「近所の中学校が荒れている」という噂を聞く。そんな環境で弱い息子がやっていけるわけがない、と偏差値の高い中学受験を考えるようになる。くるみが私立中学どう思う?と聞くとこうたは「わかんない」「どっちでもいいよ」と言う。くるみはため息をつきながら内心「主体性がなくて流されやすい。そういうところが心配なんだよ」と呆れつつも、息子のためならと塾に通わせ、勉強に付き合っている。

しかし、こうたの成績は思うように振るわず、くるみの干渉はエスカレートしていく。受験合格者は言う、「削れる時間は全て勉強に当てました」と。毎日スマホをつついて情報収集しては、息子の勉強スケジュールをぎっちり管理して、ゲームはおろか習い事もやめさせて...。夫のけんじは「いい加減にしてくれ。家事を放棄し、家族も生活も犠牲にしてまでやることか?こうただって今しかできないいろんなことを犠牲にしてるぞ。お前はこうたをどうしたいんだよ」と怒る。それを聞いてくるみは思う。「受験は今しかできない...私はこうちゃんに普通の幸せを手にしてほしい。普通に誰かを好きになり、結婚して子どもを持つとか、職があって必要なものが買えるとか。そんなの普通に生きていたら手に入らない...こうちゃんなんて特に人より頑張らないと。今は苦しくても、それがあの子のためなら

結局中学受験は不合格になり、過干渉はますますエスカレートする。友達に部活の見学に誘われても、こうたは「部活とか頑張っても意味ない。そんなに暇じゃない」と言い放つ。くるみは息子が通う公立中学は質が悪く、息子にとっては意味がないものだと断言している。くるみはこう言う。

「小さい頃のこうちゃんは頼りなくてさ、すぐ泣いちゃうし、お母さんに心配かけてばかりだったのに、それが3年後には〇〇学園の高校生だよ。すごいよねー。その次はそのまま〇〇大学に行っていい仕事に就いて、こうちゃんは幸せな人生を送れるんだ。そしたらお母さんもやっと安心できる

テストは全教科100点でないと駄目、熱があっても勉強、生活も付き合っていい人間関係も全部管理する、あんたくらいダメな子だとそれくらいがちょうどいい...

ここでようやく、こうたは言う。「もう、無理です」...そうだそうだ毒親だ!とけんじが囃し立てる。

実はくるみには、子育てを参考にしている有名ブロガーの母親がいた。しかしその子どもマルくんは、実は教育虐待を受け続けていて、結果母を包丁で刺し、重傷を負わせてしまう。このニュースを見てくるみは「一安心」。もうマルくんと息子を重ねて比較しなくていい。「これからはマルくんの真似なんてしてないで、こうちゃんの人生を見つけにいこう!高校もこうちゃんに合った私立校、もう一度ちゃんと選び直そう!お母さん協力する!」。まさに手のひら返しだ。しかし自分に背を向ける息子を見てくるみは不審がる。「ねぇこうちゃん聞いてる?またお母さん何か間違った...?」

やがてこうたは引きこもり、妹のこころが登場し...(特に生まれつきのハンディがないこころに関しては、くるみは無関心を貫いている)


父親のけんじについてはあまり描かれていないが、父親であるにもかかわらず、子どもに対してどこか他人事のようなんだよなぁ...。仕事で忙しいのか子育ても家事もくるみ任せで、子どもたちにとっては母親のサブ的な立ち位置なんだよね。けんじがもう少ししっかりしていれば、子どもたちもあそこまで酷くはならないだろうに。

とにかく読んでいて心当たりが多く、疲れてしまったが、色々と気付かされることの多い漫画だ。