家族・親子関係、友達関係、先輩後輩、先生と生徒、上司と部下、などなど...

ありとあらゆる人間関係のなかで、

相手への愛情はあっても、尊厳がない...

と感じる場面がすごく多い。

愛情はあるけど尊厳がないというのは、例えるなら人間に飼われるペットのような状態だ。ペットである犬猫を可愛がっている。これは愛情があるということだ。ペットが亡くなれば悲しむだろう。が、そのペットは飼い主の元から離れないよう、自由に身動きができない状態にされるし、食事や散歩の時間も選べない。要するに自己決定権を奪われているのだ。これが、「(相手に対する)尊厳がない」という状態である。尊厳を守ることこそが人間を人間たらしめる所以であり、人間関係のなかでそれが守られていないなら、相手を人間扱いしていない(動物扱いしている)ということになる。※もちろん本来なら尊厳は、動物に対しても示さなければいけないけれど。

尊厳を守る具体的な方法を、例として以下に挙げる。


・(マイノリティに対して)特別扱いしない

・子ども扱いしない(弱者だからといって幼児に話しかけるような接し方をしない、自己決定権を尊重するなど)

・話を遮(さえぎ)らない

・色眼鏡で見ない

・秘密を暴かない(プライバシーの尊重)


具体的な解説がなくても、何が言いたいのか、皆さんお分かりだろう。

(相手への)愛情がないのは良くないことだ、というのは多くの人が理解している。

しかし尊厳まで守らなければという雰囲気は、あまり感じられない。それどころか、尊厳に関してはどんどん侵蝕されているような気がする。

もしかしたら校則厳守の教育体制に問題があるのかもしれないし、日本独自の文化的な背景(謙虚さを美徳とする部分とか?)が関与しているのかもしれない。

いずれにせよ、「愛情だけあって尊厳はない」という状態がいいことだとは、決して思わない。一人一人が生き生きと輝いた、生命力溢れる人生を歩むためには、尊厳は絶対不可欠な要素なのだから。