日本劇団協議会主催の日韓共同公演「妻の感覚」を下北沢と三軒茶屋のちょうど中間ぐらいにある劇場、東演パラータで観劇。

時々使う下北と三茶をつなぐバスで行けばいいや、と思って家を出たのだが、途中で調べたバスの時刻表によると微妙なタイミングだったので、下北から歩いて劇場へ。

炎天下の中アイスを食べながら。。。住宅街の中に突然現れた劇場に到着。ふ〜〜ん、こんな立派な劇場がこんなところにあるのね〜、と感心。ロビーらしき空間はないものの、劇場空間は立派なもので70席あるらしい。(後で劇場のHPを見てみたら、2Fにロビー空間、楽屋もしっかりしたものがあるらしい)

 

プロデューサーの森正敏氏が推し進める日韓の演劇交流という観点から、韓国の作家コ・ヨノク(代表作「客たち」はシライケイタの演出で2020年に日本上演されている)の戯曲「妻の感覚」を2019年度のフェスティバルトーキョーで松井周の「ファーム」を演出し好評を得たキム・ジョンが演出、日本からは新劇系の劇団の俳優が集結してこの舞台を作り上げた。

 

********** 演劇 サイト より *****

山で迷子になった女は
熊に助けられ、妻となった
森に置き去りにされた男は
女に命を救われた
ある日、猟師は洞穴で女を見つけ
熊との間に出来た赤ん坊を殺し
村へ連れ戻した
だが女は、また熊を探しに家を出る
女は、男は、何を求めて生きるのか

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東演パラータの舞台をほぼそのまま剥き出しで使用、上演スペースの両側端に俳優たちが待機する形で、出番になるとその中から俳優が中央演技スペースに出て進行していくスタイル。小さな四角い木製の木箱のようなものをいくつも並べたり、積み上げたりして場面を作っていっている。

 

当日パンフの作家のコメントによるとこの劇で描かれている、全ての出来事の発端となった”熊と人(女性)の結婚”というのは(韓国では?)知られている神話のエピソードだそうだ。

 

熊は自然の象徴であり、自然に抱かれて生き延びた野生の女(小暮智美)が、熊と暮らしていた山のほら穴でたまたま助けた人間の男(大塚航二朗)と人里で暮らすようになる中、社会の理不尽な決まり、人の身勝手な欲などに振り回されていく。

 

半獣半人間(その様をそのまま表した人形が良い)の赤子を有無を言わさず一刀両断で殺してしまうマタギ、女を金で性搾取しようとする老人、旦那を解雇する会社の上司、、といった人々を目にするたびに「森での旦那(熊)はいつも優しかった」と懐かしむ女。我々が望む社会、人との関わりとはどんなものなのだろうか。

 

野生の女として髪を振り乱し、駆け回る主演の小暮が好演。

何もない空間だからこその臨場感が物語に力を与えている。

 

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