新宿紀伊國屋サザンシアターで老舗Made in Japan ミュージカルカンパニー、イッツフォーリーズの新作「鉄鼠の檻」を観た。

 

京極夏彦原作のミステリー小説、陰陽師「京極堂」こと中禅寺明彦が活躍する百鬼夜行シリーズを舞台化した「魍魎の匣」を2021年に上演、大好評を博したあとの京極ミステリーシリーズの第二弾だ。

 

イッツフォーリーズの新境地を確立した前作から3年弱、箱根の山奥にある禅寺で起こった僧侶の連続死事件の謎を解く「鉄鼠の檻」を前回からのキャストを集結して(例えば、中禅寺役は引き続き小西遼生が担っている)舞台化している。

 

 

 

 

******* 演劇サイト より あらすじ ******

 

昭和28年初春。古物商の今川雅澄は、明慧寺の僧侶、小坂了稔から依頼を受け、箱根山中の仙石楼に投宿する。逗留していた医師、久遠寺嘉親と碁を打つ日々を送りつつ、了稔からの続報を待つ今川。
しかし、そんな彼の前に突如現れたのは、雪の中で座禅を組んだまま死んでいる了稔の遺体であった。周りに足跡はなく、不可解な現場に旅館は騒然となる。
一方、時を同じくして箱根を訪れていた憑物落としの古本屋、京極堂こと中禅寺秋彦と、その友人で作家の関口巽も事件に巻き込まれてしまう。更に、県警の捜査に業を煮やした久遠寺が、探偵の榎木津礼二郎を呼んでしまったことにより、榎木津も事件に関わることに。
やがて一行は、僧侶が次々と殺される箱根山連続僧侶殺害事件に飛び込んでいくこととなるのだった――。

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原作がミステリーということで、その連続殺人事件の犯人探し、そして謎の禅寺の成り立ち、そこに集まる僧侶たちの正体、さらには幽霊なのか?という振袖を着た少女の実体、、、と謎解きが次から次へと発生し、最後まで面白く観た。

 

初日開幕にあたっての原作者のコメントとして「台詞が多くてごめんなさい・・・漢字が多くてごめんなさい・・・」とあったが、確かに、仏教の教えの引用や禅問答など多少集中力が必要かと思うが、そのあたりは背景に鍵となる言葉や引用を文字で映し出してくれているのでご心配なく。

とにかく、言葉の洪水にエイッと飛び込んで流れに乗っていけば徐々に頭にこびりついてきて、ミステリーを楽しめること請け合い。

 

前回の「魍魎の匣」よりも少しばかり集中と(話に乗るまでの)忍耐が必要なのは、もしかしたら登場人物たちがみな僧侶で遠目には見分けがつきにくいから、というのもあるかも。—みんな小顔で坊主だから慣れるまで見分けがつかない。。。

 

中禅寺や中禅寺のバディで小説家、ものがたりの語り部である関口巽(神澤直也)、探偵の榎木津礼二郎(Wキャスト:北村諒と横田龍儀)、そして編集者でカメラマンの鳥口里美(大川永)などの中心キャラたちは前作から変わらず揺るぎなく、キャラ立ちしている。

中禅寺と関口、榎木津三人の仁王立ち決めポーズがいかにも2.5次元で笑った(マスクの中で)。

 

禅寺で修行をしている修行僧という特殊な人たちの集団でありながら、結局は他の世界の集団と同じように(例えば一つ前のレビュー「地の面」の世界のように)、嫉妬、自己顕示欲、出世欲、そして愛憎、、、と、人間が集まればどこでも同じような問題で拗れて、それが殺人という究極の事件にまで発展してしまうのね〜〜〜、と坊さんでも、リーマンでも似たり寄ったりなんだなあ、そう考えると人間ってやつは、、と感じた。