下北沢本多劇場で上演中の中屋敷法仁率いる柿喰う客の新作「殺文句」に滑り込みで見逃さずに済んだ。
****** 劇団HPより ********
「テメェのせいで組織が腐るんだよ!!」
崇高な経営理念。野心的なビジョン。
不可解な転落事故をきっかけに、すべてが狂い出す。
夢と絶望が支配するブラックオフィスミステリー。
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今回は作・演出の劇団主宰中屋敷もガッツリと役者として参戦。流行りのツーブロックヘアスタイルでイメチェンも果たし、以前は苦労していた滑舌も良くなり柿の売りである高速台詞回しをこなしていた。
集団、その集団が効率的に機能するためのきまり、集団となったときの人の行動形態をその長短の両方向から考察した内容となっている。
日本では多くの人々が普通に体験する集団組織の一員としての社会の有り様が展開していく。
会社員、それも女子ばかりが集められた総務部における組合における団結が一人の男—継美ツクシ(玉置玲央)—の策略=次々に女子社員と関係を持ち彼女らを妊娠させて退社に追い込む、により崩れていくという筋になっていて、女子たちが連続して高速で台詞を繋いでいく(柿喰う客の十八番)中、その男ツクシは終始一言も喋らず、集団の真ん中で不気味に静観している。
後に明かされるのだが、ツクシは革命組織に属していた両親が組織からぬけるために計画して作った子供で、革命—組合を潰す—ため組織から派遣されていたのだった。
軽快なダンス(集団での振りの入った動き)にのせてマシンガントークが炸裂、ラップのような言葉遊びと同じフレーズの繰り返しですっかり観客を「柿」の世界に誘ったところで、後半ではチクッと隣の人の言動に流される人々に関しての社会批判なども入れ、ドラマとしての予想外の(ちょっと無理やりなところもあるが)急展開で十分に刺激も与えての終演となる。
以前芸劇で上演した「無差別」とか、もっと毒に徹していたように思うが、、、このあたり(毒を散らす程度)に落ち着いたのだろうか。
最近あまり観ないが、女体シェイクスピアシリーズは好きだったな〜。
総務部のお局的存在の梅坂シヅカを演じた七味まゆ味がいつもながらに魅力的。団体で踊っていても、いつの間にかまゆ味スマイルに惹きつけられてしまうから不思議だ。