下北沢スズナリで、こちらもGWの恒例となった公演、渡辺源四郎商店(通称なべげん)の「法螺貝吹いたら川を渡れ」を観た。

主宰の畑澤氏が高校の教師(美術の教師で演劇部の顧問でもある)ということで、学校が休みとなるGWにいつも東京公演を行っている。

 

******* 演劇サイト より ********

 

 

時は幕末。津軽藩の東端に位置する静かな山村。川を挟んだ隣村は南部領である。津軽と南部は長年敵対関係にあり、両村の往来は禁じられてきたが、それは表向き。実は密かな交流が続いていた。のどかな日々は突如として巻き起こった維新の嵐にかき消される。城からの命令が届き、村人たちは気の重い会議を始めるのだっ...

 

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バルサカラー(サッカー、FCバルセロナのユニフォームの赤と青)の赤と青で区切られた山が背景の舞台。津軽藩の村と南部領の村との境界がその赤と青の真ん中に(見えない)線としてあるらしい。

そんな線を意識しなければ同郷としての日々の交流のあった人々が敵味方として戦わなければならなくなったら。。一体誰が味方で誰が真の敵なのか、、そもそもなぜ隣人と戦わなければならないのか、、、—ほとんどの戦いがそうであるように、上の偉いさんがたの都合によるのだが。

 

津軽弁で活き活きと交わされるやりとりが秀逸、これこそが阿吽の呼吸というものだろう。

 

役者が楽器も担当していて、舞台両脇でギターとドラムの生演奏が。出番になるとスッと役になりきって舞台に出ていくのが良い。

 

当然のことながら、昨今の各地での戦争を想起させられるのだが、あまり関連づけず、こんな不条理で無意味な殺し合いが(今も)昔もあったのだということを再度心に留めておくのが良いだろう。

 

山の神として崇められていた謎多き女性たず(木村慧)が人間にもどった瞬間の人としての業を感じさせる表情が見事。

また、それぞれの村のシカリ(統領)を演じた長谷川等さん(浪岡演劇研究会)、柾谷伸夫さん(演劇集団ごめ企画)のご両人の存在も貴重。