東京芸術劇場で熊川哲也率いるK-BALLETが2022年から始めた新しい試み、”時代性のある新作”を上演するK-BALLET Optoの新作「シンデレラの家」を東京芸術劇場プレイハウスで観た。

振り付けはイタリア人ジュゼッペ・スポッタ。

 

********* 演劇サイト より ********

愛すればこそ憎む、逃れられない家族の絆。
祖父、母、義妹の世話に明け暮れる
少女が見つけた切ない愛の物語。

日本のいろいろな街でシンデレラは生きている。
たとえば、認知症の祖父、こころを患い怒りを制御できない母、そしてその母と新しい男との間にできた義妹の世話に明け暮れる日々のシンデレラがいる。
家族のためだけに生きる彼女は、自分を愛すすべを知らない。「幸せになりたい」と願うことすら贅沢で、どこか家族に後ろめたさを感じてしまう。そんな彼女の頭によぎるのは、祖父も義妹もいなくなった母との安住、全てから解放され自由を手にした姿。
ある日、義妹を寝かしつけるために「シンデレラ」を読んであげていると……そこは舞踏会。亡き父、そして幸福につつまれた家族の姿が楽しげに。が、午前零時の鐘が鳴るや……。

 

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現代のシンデレラ、祖父の介護をするヤングケアラーのシンデレラ(小林美奈)のおはなしということで、上記のようなストーリーを追っているということだが、正直に言って事前にあらすじを読まなければ、セリフがあるわけではないので、ストーリーに関してはそこまで読み取れないだろう。

 

とは言え、さまざまな要素— 音楽、美術、衣装、振り付け— に新しさを込めたパフォーマンスは圧巻で従来のバレエファンも目を見張るものとなっていた。

 

得にいろいろな電磁楽器をリズミカルに、そしてノリノリで奏でる和田永率いるエレクトロニコス・ファンタスディコスの音楽が秀逸。今回が初めてのダンス舞台とのコラボということだったのだが、これから注文が増えるかも。

 

また、蛍光色やシースルーの素材を使ったスタイリッシュな進美影のコスチュームも鍛え上げられた肉体を綺麗にみせて良かった。

 

幾何学デザインの大きなスチールの美術、坂形状の舞台装置を使った降ってくる振り付けも面白い。