夜は同じく東京芸術劇場のプレイハウスで梅田芸術劇場主催のミュージカルVIOLETを観劇。

演出は昨年度の読売演劇大賞に輝いた藤田俊太郎が担っている。

 

2019年にロンドンで英国人キャストによる世界初演を、そして2020年には池袋(同プレイハウス)でコロナ禍の3日間限定上演をラッキーにも観ることが叶ったのだが、今回の2024年公演でもって完成!という印象を強く感じた。

 

 

 

******** 演劇サイト より ********

 

1964年、アメリカ南部の片田舎。幼い頃、父親(spi)による不慮の事故で顔に大きな傷を負ったヴァイオレット(三浦透子、屋比久知奈のWキャスト)は、25歳の今まで人目を避けて暮らしていた。しかし今日、彼女は決意の表情でバス停にいる。あらゆる傷を癒す奇跡のテレビ伝道師(原田優一)に会う為に。西へ1500キロ、願いを胸に人生初の旅が始まる。
長距離バスの旅でヴァイオレットを待ち受けていたのは、様々な人と多様な価値観との出会いだった。ヴァイオレットの顔を見た途端目を背ける人々。一番最初の出会いとなった南部出身で白人の老婦人(樹里咲穂)。運命的な出会いを果たす黒人兵士フリック(東啓介)と白人兵士モンティ(立石俊樹)の対象的な二人の男性。思いがけない正体を現したテレビ伝道師。追憶の中にあらわれる父親。これらの出会いによりヴァイオレットの中で何かが少しずつ変化しはじめる。
長い旅の先に彼女が辿り着いたのは―

 

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ロンドンのチャリングクロス劇場は日本で言うところの小劇場(通常の階段式客席だと265席だが、VIOLETは対面式の客席という形で上演された)で劇場にいる人たちが皆一緒にバスに乗り込んでヴァイオレットと一緒の旅を体験することを目指した演出だった。狭い空間ならではという臨場感が感じられる舞台で、観客たちは目の前で起こる出来事に驚いたり、感情移入したりしていた。

その後、2020年に限定で上演された芸劇での舞台はその小劇場での舞台、ロンドン版の名残が感じられるような舞台で、今思うと、もしかしたらプレイハウスの空間を活かしきれていなかったのかもしれない。

 

で、満を辞しての今回の舞台(再演と言っても3日間限定だったので、観ることが叶わない人が大勢いたのだと思うと、日本の観客たちが待ちに待った、、と言えるだろう)では、プレイハウスの空間を目一杯余すところなく使って*、VIOLETの旅ものがたり、一人の女性の成長ものがたり、勇気から大人の階段を登る様を描いたこの戯曲を見事に創り出してくれていた。

 

前回、前々回(ロンドン)同様にバスの乗客たちはバスのシートに腰掛け、回り舞台の上で旅を続けるのだが、その部分が自然に全体の画の中に組み込まれ、旅先の休憩所やバー、そしてヴァイオレットが訪れる伝道師の教会、さらに彼女が幼いころの追憶の場面までもが次々ととてもスムーズに場面転換していく。その自然さゆえに、その流れにのせられ、どんどんヴァイオレットのものがたりに引き込まれていく。幕開けから最後まで、途切れることなく劇にどんどん入り込んでいける、だからこそこの遠いアメリカ南部のおとぎ話に夢中になれるのだ。

 

筆者が観た回は三浦透子がヴァイオレットを演じていたのだが—実のところ、三浦目当てというところがあった。昨年観た森田剛と三浦のダブル主演の舞台「ロスメルスホルム」の彼女が素晴らしかったので—、とにかく三浦のヴァイオレットが素晴らしかった!!ミュージカルではあるのだが、彼女の演じる部分のリアルさ—例えば彼女が卑屈になるところとかフリックに惹かれる乙女心などが—この舞台の完成度に大きく寄与していた。ちなみに歌声もリアル+魅力的だった。

 

あと、ヴァイオレットを挟んで三角関係になる兵士フリックとモンティを演じた二人;東と立石、そして彼女を含めた三人の関係性とても良かった。彼らの恋愛関係がとてもリアルでヴァイオレットの成長物語でありながら、今回は彼らの恋愛にもかなりキュンとさせられた。———とにかく東さんがクールでカッコいいんですよ。

 

チーム全体の歌と演技も文句なし!!!あと2日間だけだけど、、もし叶えば地方(大阪・福岡・宮城)公演でも、、とにかく、とにかく観てほしい舞台。オススメです!