マチソワを敢行する日、その間の時間に観ることができる映画をチェックして、あくまでも観たい映画があったら(高齢になり映画鑑賞料が安くなったので)観ることにしている。

檄混みの渋谷や新宿でショッピング、、なんて疲れるだけなので。。

 

最近、観たものがそれぞれに当たりだったので、ちょっと紹介しておく。

 

(左から右の順で)

 

Perfect Days

*言わずと知れた、役所広司がカンヌで最優秀男優賞を受賞したヴィム・ヴェンダース監督の映画。

西洋人から見た日本という視線が随所に見られる(たとえば、保育園児たちが同じ帽子をかぶって並んでお散歩しているところなどは、我が家の英国人もいつも喜んで眺めている)。

無口な主人公の生き方にいろいろと考えさせられることがあるのだが、何と言ってもこの映画は

カセットテープから流れる往年の名曲(選曲が素晴らしい)と終盤にちょこっと出る三浦友和のかっこよさが見どころの映画だと思う。

 

Navalny ナワリヌイ

*先日獄中で亡くなったロシアの政治家ナワリヌイ氏が政府から毒殺されかかったところから、ドイツの療養先で仲間たちと始めたロシア政府の暗殺計画に関する調査の様子を映したドキュメンタリー映画。

彼の主張するところが明らかになる中、当局からの出頭命令に従い帰国したナワリヌイ氏を当局は力ずくで(無理やり到着空港を変更してまで)収監、その後今年2月16日に監獄の中で死亡したことが伝えられた(死因などの詳細は不明)。

 

シンプルな言葉で、祖国ロシアに帰る際に”自分には恐れる理由がないので、大丈夫”と話すナワリヌイ氏。正義や真実を唱える者に”自分のやりたいように力ずくでやったもの勝ち”と言わんばかりのこの世の中の状況に背筋が凍る。

獄中から登壇した裁判で鉄格子ごしに愛する妻ユリアさんへ送ったラブサインがいつの日か実を結ぶことを祈る。

 

季節のはざまで

スイス人監督ダニエル・シュミットが自身の経験を反映させて(らしい)古き良き日の思い出を綴ったドラマ。

名作「ニュー・シネマ・パラダイス」のスイス版のような趣。

幼い頃、主人公が祖父母が経営する山中のホテルで、祖父母やホテルの従業員、常連客らと過ごした日々。少年は大人の世界を毎夜、階段脇から覗き見して、世の中のあれこれ、男女の駆け引きを学んでいった。

ヨーロッパ映画らしい、趣味の良い美術、そして少年が主人公とは言え、男女の恋愛模様、そしてお色気話が含まれているのが良い。

 

止められるか、俺たちを

ピンク映画から社会派のドキュメンタリー(それもほかの人にはとても撮れないようなパレスチナ解放のために戦うゲリラの日常を撮ったドキュメンタリー「赤軍-PFLP・世界戦争宣言」や「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」など)まで、独自路線で多くの映画を撮った若松孝二監督が率いた若松プロダクションで働く若い女性めぐみ(門脇麦)の眼を通して、当時(1969年)の風俗、文化映画業界、そして若松孝二という人物を描いている。

3月15日にこの映画の続編「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」が公開されたこともあってなのか、吉祥寺の映画館は空席が数席しかないほどの大盛況。

スクリーン内では常時タバコの煙が蔓延していて、当時人々はず〜〜〜っとタバコをふかしていた。

そんな時代もあったね〜(大ヒットテレビドラマ「不適切にもほどがある」ではないが)、と思う一方で、車座になって酒を飲み、みんな正面切って人とディスカッションをしていたな〜、あらゆる不適切も許されていたな〜〜(「ふてほど」最終回でも言っていたが寛容だった)、そんな中で得られることはいっぱいあったな〜〜、などとしみじみと思った。