KAATから日比谷へ移動して(2日続けての日比谷での観劇)、KERA CROSSの女優だけの新作「骨と軽蔑」をシアタークリエで観た。

 

それにしても横浜(中華街)も日比谷も3連休なので人がめっちゃ多い。。どこもかしこも人。人。。人疲れ。。

 

****** 演劇サイト より*******

ケラリーノ・サンドロヴィッチの過去戯曲を才気溢れる演出家たちが
異なる味わいで新たに創り上げる連続上演シリーズ「KERACROSS」。
シリーズラストとなる今作はKERA自ら作・演出、女優7名と描くまさかの新作書き下ろし!

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東西に分断された架空の国での戦争の話。終始空襲の音が聞こえる中、戦争で富を得ている家族の7人の女たち —妻グルカ(峯村リエ)、娘マーゴ(宮沢りえ)とドミー(鈴木杏)、そして家政婦ネネ(犬山イヌコ)、今や瀕死の家長の秘書であり愛人(??)ソフィー(水川あさみ)、作家であるマーゴのファンで一家の納屋に居候しているナッツ(小池栄子)、マーゴの編集担当ミロンガ(堀内敬子)—が繰り広げるコメディミステリー。

女たちによる密室でのミステリー、というとフランソワ・オゾンのトップフレンチ女優の競演「8人の女」を思い出すが、まずはこの顔ぶれをそろえたところがこの作品の驚き、そして凄さだ。

重なるところがない、それぞれに個性的な名実ともにトップの舞台女優たちの競演が見どころの一つであることは否めない。

 

マーゴの夫は半年前に失踪したまま行方が知れなくなっていて、唯一の手がかりが時々届く手紙だけ。しかしながら、その手紙もドミーとネネが到着次第に読むだけで意図的にマーゴには渡さないため、マーゴは夫がなぜ突然に自分の前から消えたのか、、まったくわからずじまい。そんなこんなで情緒が不安定で、さらに売れない作家のマーゴであったが、彼女の熱烈なファンだという外国人のナッツが突然訪ねてきて、彼女はマーゴの心の支えとなっていく。

2階の寝室で寝たきりという設定の家長は舞台には登場しないが、どんどん容体は悪化し、とうとう息を引き取った。

 

休憩を挟んでの第二幕では主人亡き後グルカが家業(軍需産業)を継ぎ、秘書となったソフィーを頼りにますますビジネスを広げていく。マーゴが予想外にも文学賞を受賞、彼女の生活も一転していく。

一方、思いがけないナッツの告白もあり、マーゴの夫の秘密も徐々に明らかになっていく。

 

劇が進む中、そんな一家のアップダウン、ミステリーの展開を MC役である犬山演じるネネが客席の観客たちに向かって説明していく(話しかける)シーンがいくつか挟まれているのだが、パンフレットの作家(+演出家)へのインタビューによると初めて使ってみた手法だそうだ。「新しい効果を試してみたかった」と言っている。

 

今回のパンフレットの中には演劇批評家たちがケラリーノ・サンドロヴィッチとは?というお題で文を寄せているページがあるのだが(私にも書かせて〜〜)、毎回、毎ステージ変わり続けているところが彼のすごいところの一つであると思う。

 

もしかしたら数年前のような”毒”は薄まっているのかもしれない、ナンセンスに関しても、、それでも今はあえて分かりやすさを臆さずに出して、私たちが生きている今、現在の社会の状況を考えてみよう、と日比谷で観劇をしている私たちに問いかけているのかも。