この三連休は観劇三昧。

 

連休初日はバレエでスタート。新国立劇場で珍しくメールダンサーが主役のバレエ「ホフマン物語」を鑑賞。

 

オッフェンバックのオペラを英国人の振付家でスコティッシュバレエ団の創設者ピーター・ダレル(1929-1987)が台本を書き、振り付けて1972年にスコティッシュバレエで世界初演された本作。日本では新国立劇場で2015年に日本初演が行われ、同劇場の人気プログラムとして再演(2018年)、そして再再演(2024年)を果たしている。

 

***** NNTT ウェブサイト より *****

初老の詩人ホフマンは,劇場前のカフェで恋人のオペラ歌手ラ・ステラを待っている。彼女が現れ彼への手紙を言付けるが,議員リンドルフ(実は悪魔)がその手紙を取り上げてしまう。ホフマンは友人たちに求められて,過去の恋愛遍歴を話し始める。

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その後いずれも(悪魔の企みにより)悲恋に終わった3つの恋愛を語るホフマン。その3つの全く趣向の異なったマドンナ(人形、「赤い靴」のような踊りに憑かれた女性、高級娼婦)との恋愛ストーリー、そして設定がこのバレエの見どころとなっている。

 

再演されるその人気が示すように総合的に完成度の高いステージで、物語構成と振り付け(ダレル)、美術(川口直次)、衣装(前田文子)、そして音楽(オッフェンバック)とどれをとってもそれぞれに他にはない独特な魅力を放っている。

 

例えば、三人三様のマドンナたちの衣装も無垢な白いレースのお人形さんから、良家の子女のいでたち、そして妖艶な魅力を発散させる大きく脇が切れあがった娼婦の赤い衣装、、と次から次へと目を楽しませてくれる。

美術にしても写実的なヨーロッパの広場、そして背景の街並みから煌びやかな娼館まで、それぞれのシーンごとに瞬時に雰囲気が変わりワクワクさせられた。

そして、それは振り付けも同様で、レパートリーとなることの多いチャイコフスキーバレエ作品などとは一味違ったストーリーにみあったダンスが随所に盛り込まれている。

 

そんな女性ダンサーたちの活躍もこの作品の大きな魅力であるのだが、何と言っても主役はホフマン。

筆者が鑑賞した日は新国立劇場バレエ団の絶対的エース福岡雄大さんがこの役を演じていて、若い日から初老までのホフマンを踊るので衣装やメイクを変えながらの出ずっぱりだった。

 

ネットで「ホフマン物語」を検索していたら、英国でホフマン役を踊ったアダム・クーパーの日本公演へ寄せてのインタビュー動画などもでてきたのだが、やっぱり主役のお姫様に対しての王子ではなく、人生を生き、愛を求めるホフマンあっての作品だけあって、ホフマンを観るバレエなのだとつくづく感じた。

 

善人と悪魔というだけではない、人間を深く、そして長く観察したストーリーも、このバレエが広く支持される一因だろう。