下北沢スズナリで2023年に発表した「ハートランド」(池田亮)が今年の岸田戯曲賞の候補にあがっている劇団ゆうめいの新作「養生」を観た。

 

 

 

平日の昼間なのにやけにパッツンパッツンに少しの隙間もないほどに満席だな〜と思っていたらこの日が千秋楽だった。

それにしても通路を全部補助席で埋めての公演というのは久しぶり。。。開演前に前説で「もしお手洗いに行かれる方がいたら、舞台後方の通路(実は開場の際に、観客はこの舞台奥に造られた動線を通って舞台わきの段を降りて、着席するという仕掛けがとられたいた)も通れますから、、役者の横から通って結構ですから、、」なんて言っていたが、さすがにそれは無理、でしょ。

 

それにしても口コミなのか、当日券目当てでこれだけ人が集まってくるというのは今の演劇界の中での貴重な現象と言えるでしょう。まさにノリに乗っている感が。

数日前、世田パブの芸術監督の白井晃氏が会見で今の演劇状況の衰退、若い人たちが演劇を観にこないと嘆いていたが、スズナリの状況をみると、面白そうな演劇には若い人たちは敏感に反応して、並んででも観ようと努力しているのにな〜〜、と。

 

奇しくも、ちょうど後ろあたりの席の若者二人が「チケット代高いから、やっぱり観るものは選ばなくちゃね〜。お金が続かない」と話していて、それこそが原因の一つなのでは?と思った。

 

********* 演劇サイト より ********

 

絵画科の美大生橋本(本橋 龍)と、経済学部の大学生阿部(田中祐希)は百貨店の内装作業を行う夜勤のバイトで出会った。意気投合し、当たりが強い正社員と仕事量に不満を漏らしながらも「卒業したら俺らこうはならんし」と笑い合う。

数年後、二人はその夜勤でバイトから正社員になっていた。新入社員の清水(黒澤多生)の教育を任される阿部。
一方橋本は、人気作家となった同期の展示が百貨店の画廊エリアでクリスマス後に開催されることをポスターのディスプレイ作業中に知る。

喪失した時間と今とが対峙をしつづける、夕方から明け方への話。

 

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劇団の方向性としてHPに ”自身の体験や周囲の人々からの「自分のことを話したい」という声を出発点として、生々しくも多種多様に変化していく環境と可能性を描き、その後、表現によってどのように現実が変化したかを「発表する」までを行う。” とあったので、この夜勤バイトの話もそれなりに実体験が盛り込まれているのだろう。

 

昔若者だったおばさんとしてはつくづく、今の若者たちは大変だな〜〜〜、というのが感想。

社会マニュアルを少年少女の時から聞いてそれなりに知っているため(この点で言うと先日観た「ぼっちりばぁの世界」にも通じる)自分を律して、なるべく効率よく、他の人に迷惑をかけないように周りを観察しながら生きていく。。すごいな〜。

若者なんてわからなくて当たり前なんだから、、なんてボケボケ過ごしていた自分を振り返り、反省しきり。。。

 

なので、おそらくその当事者である若者世代には、やはり刺さる、、並んででも観たい、と思わせる内容なのだと感じた。

 

大雑把に組まれた抽象的な巨大脚立の美術が自由度がありGOOD!

 

「トイレでシコる」という台詞があるのだが、隣の席の可愛い女の子がそこでキャッキャと反応したのに驚いた。笑いのツボはそこなのか〜〜と。ジェネレーションギャップ?!

 

musarebito